人獣共通感染症(ズーノーシス)とは?病名や症状など知っておこう!

ズーノーシス(人獣共通感染症)

人獣共通感染症(ズーノーシス)とは、人と、それ以外の脊椎動物に共通してかかる病気の事を指します。

昔は人畜共通感染と言われてましたが、近年ではペット動物経由での症例を増えて来て、名称として適切ではないとの事から、人獣共通感染と改められつつある様です。

 

名前に「」と入っているものの、鳥や爬虫類由来の病気もあり、獣と言う表現も適切とも言えないからか、動物由来感染症と呼ぶ事も多いです。

世間的には名称が統一されてはいないものの、一応、厚生労働省では、この動物由来感染症で統一されている様で、動物取扱者講習ではこちらの名称で進められます。

 

ややこしいですが、どの名称でも横文字表記にしたらズーノーシスですから、こちらが一番通りが良いでしょうw

さてこのズーノーシス、文字通り、人と動物、双方にかかる病気、あるいは片方にのみ発症する物を指しますが、
動物取扱責任者講習で取り上げられる主な病例は、ほとんどが動物から人へとうつる病気です。

 

知らなかったとしても多くの場合は問題ありませんが、今回ご紹介する病気の多くは、動物取扱業者ならずとも、
動物を飼っている、あるいは身近に動物がいる人であれば、知っておいた方が良い知識でもあります。

 

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動物を飼っている人と、そうでない人には免疫力に差がある!

 

動物を飼っている人と、そうでない人には免疫力に差がある

 

例えば、犬を飼っている家の赤ちゃんと、そうでない家の赤ちゃんでは、感染症に対する耐性に違いがある事が科学的に検証され、ある程度の信頼性があるデータが出ています。

また、赤ちゃんに限らず、キチンと衛生管理がされたペットとの共生は、人間の免疫に有用であると考えられています。

 

毎日犬に触れあう人と、そうでない人では違いがあって当然と言えば当然ですが、これを意識的に知っているか知らないかでは、大きな差があります。

当然、この法則は犬以外の生き物でも同じです。トカゲやカメ、カエル、猫、その他の小動物…

 

飼い主やペット本体は病気にかからずとも、生き物にほとんど触れた事のない親戚の子がスキンシップを取ったら病気になってしまった!

なんて話は、実際問題良くある話です。

 

また、人から獣への病気も当然ありえるので、1発かかったら即蔓延して全滅する危険のある、牧場や畜産農家では外部の人間が畜舎に入る事をあまり好ましく思いません。

見学の際に、その牧場の所有している長靴や衣類に着替え、消毒を徹底するのは、そうした防疫面を考えた行動となります。

 

一般家庭ではそこまで対処できませんので、犬や猫、あるいは爬虫類にあまり接点がない人が動物に触る時には、飼い主が接する時以上に気を使う必要があります。

動物本体に触ったのなら当然ですが、飼育ケースやケージ、餌容器や水飲みなど、動物が使用している道具に触れた等の些細な接触でも、必ず手を洗う癖をつけておきましょう。

ズーノーシスにはタイプがある!

 

ズーノーシスにはタイプがある!

 

一口にズーノーシスと言っても、感染経路や症状で色々名称が異なるようです。

ダイレクトズーノーシス

動物取扱業者にとってのズーノーシスと言えば、主にこちらが取り上げられます。

同種の脊椎動物間で伝播が成立し、感染動物から直接あるいは媒介動物を介して機械的に感染するもので、

・動物からヒトへと伝播する人獣共通感染症
・ヒトから動物へと伝播する人獣共通感染症
・ヒトと動物の双方に伝播する人獣共通感染症

この3パターンに該当するズーノーシスが、ダイレクトズーノーシスです。

狂犬病、ペスト、オウム病、結核、細菌性赤痢、アメーバ赤痢、ブルセラ症、サルモネラ症、カンピロバクター症、ブドウ球菌症などなど…様々な病気があります。

その他にも、

サイクロンズーノーシス

病原体の感染環の成立のために、複数の脊椎動物を必要とするタイプ。この型には寄生虫によるものが多い模様。
最近流行りのアニサキス症や、条虫症(サナダムシ)なんかもこれに該当します。

メタズーノーシス

脊椎動物、無脊椎動物間で感染環が成立するもの。(蚊や蛭などからうつされるタイプ)
アルボウイルス感染症、マラリア、日本住血吸虫症など

サプロズーノーシス

病原体が発育、増殖の場として、有機物・植物・土壌など、動物以外の環境を必要とするもの。
トキソカラ症、アスペルギルス症、ボツリヌス症、ウェルシュ菌食中毒、クリプトコッカス症など

混合型

上記4タイプが組み合わされたもの。

肝蛭症、ダニ麻痺症など

このように、ズーノーシスと言っても色々あります。

 

人体に深刻なダメージを負う物や、下手したら死んでしまう物まで様々ですが、日本国内のズーノーシスに限って言えば、動物との付き合い方や扱い方次第で未然に防げるものがほとんどです。

動物を無暗に恐れる必要はありませんが、犬や猫などの身近な動物でも、距離感を間違えて過度なスキンシップを行うと非常に危険です。

人獣共通感染症(ズーノーシス)の具体的な症例(病名)

 

人獣共通感染症(ズーノーシス)の具体的な症例(病名)

 

名前だけ言われてもイマイチ病状がわからない…と思いますので、動物取扱責任者講習で良く聞く病気を、ざっくりと紹介してみようと思います。

狂犬病

現在日本では感染が確認されていないものの、未だに世界中で猛威をふるっている、凶悪な動物由来感染症。

名前だけは有名でも、実際、どういう病気なのかはあまり日本では知られていません…

 

と言うのも、幸いな事に、日本は島国である事と、徹底した予防法で根絶に成功した、世界でも珍しい狂犬病清浄国だからです。

日本には存在しない病気なので、興味のない人々にとっては、内容がさっぱり…とう言うわけです。

 

病名に犬とは入っているものの、犬のみの病気ではなく、ほぼ全ての哺乳類に感染する病で、人間も例外ではありません。

感染した動物の唾液を介して感染が広がるので、噛まれたり粘膜をなめられたりすると感染します。

 

この病気は潜伏期間内にワクチンを投与すれば助かりますが、発症したら最後、ほぼ間違いなく死んでしまう恐ろしい病です。

現在ではなんとか国内の根絶を達成しておりますが、未登録犬や予防接種をしていない飼い犬も多く、2007年の厚生労働省の調べでは大体飼い犬の75%がワクチン摂取を受けており安全圏と言われておりますが、

 

同年のペットフード工業会の全国調査の調査によれば、未登録犬を含めたのワクチン実地率の実情は40%ほどと言われており、流行を防ぐために必要とされるWHOガイドラインの70%を遥かに下回っているとの事。

 

近年の輸入ペットの増加やワクチン浸透率から考えると、非常に危ういバランスでどうにか国内の駆逐に成功している病と言えます。

予防としては、海外では野生&ペットに関係なく、犬猫の様な身近な動物でさえ無暗に触れないこと。

万が一海外の動物に噛まれたら、念のためにワクチンを投与する。などです。

ペスト

ネズミを介して世界中で猛威をふるった病です。

感染したネズミの血を吸ったノミが人間を刺して感染したり、感染した人間の体液からもうつるので、人から人への感染も深刻で、一度感染者が出ると瞬く間に広がります。

 

14世紀の大流行時には中国の人口を半分にしたのち、ヨーロッパへと渡り人口の3分の2を死なせた病としても有名です。

 

感染すると肌が黒くなる事から、別名は黒死病

日本では1926年を最後に確認されていないものの、動物取扱業的には、一時期流行ったプレーリードッグがペストを媒介する為に輸入禁止になったので記憶に新しい病です。

狂犬病と同じく、日本人にはなじみのない病気ですが、世界では未だに存在する病です。

 

海外渡航の際には、ネズミ、ノミの居るような不衛生な場所に行かない(もしくは徹底した駆除)患者と接触しない等を心掛けましょう。

抗生物質のある21世紀の日本では死亡例はありませんが、特効薬となる有効なワクチンが存在する病ではありません。

ブルセラ症

感染した動物のミルクや、そのミルクから作った乳製品の飲食、および、細菌自体を吸い込んだり、目や傷などの粘膜から感染する病です。

ミルク以外にも、糞尿や胎盤、羊水などにも病原菌が含まれます。

 

ヒトに感染すると発熱、発汗、頭痛、背部痛、体力消耗というような症状を起こし、重症化すれば脳炎、髄膜炎などの中枢神経の炎症や心内膜炎、骨髄炎を起こすこともある病気です。

 

世界的に分布している病気ですが、主に地中海地域、西アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、南アメリカ、アラビア湾域、インドなどが流行地帯。

 

こうした流行している地域での未殺菌ミルクの摂取や、加熱不十分な肉類を食べると感染することがあります。

 

日本では家畜からは根絶されているので、普段口にするものはほぼ大丈夫ですが、犬での感染はあるようで、2%から5%の犬が保菌していると言われています。

犬の出産等に関わる時には、犬の親子の安全も大事ですが、人間の方の安全にも十分注意しましょう。

オウム病

オウムと名が付いているものの、オウムだけが媒介する病ではなく、鳥類全般が自然宿主と言われています。

鳥類に限らず、小動物も感染源になりえる病です。

人間が感染するとインフルエンザの様な症状を起こし、治療が遅れると肺炎や気管支炎に発展する事もあります。

排便や羽毛等の混じった物を吸い込む事で感染するので、鳥類や小動物を飼っているのであれば、マメな掃除に加えて、掃除の際にはマスクをキチンと付けて羽毛や埃の吸引を避けたり、過度なスキンシップを避ける事で未然に防げます。

サルモネラ症

爬虫類を扱う人間にとっては、非常に身近な人獣共通感染症です。

サルモネラ症は、一言で言えば食中毒を起こす病原菌です。

 

胃腸炎だけでなく、菌血症、敗血症、髄膜炎、に発展する事もあり、それに伴う死亡事例もあります。

一昔前にミドリガメを触った子が発症して死亡した事から、ミドリガメだけが槍玉に上げられ、今なお悪しき亀としてとり沙汰されますが、サルモネラ菌はなにもミドリガメだけが持つ特別な菌ではありません。

 

爬虫類であれば、どんな種であれ普通に保有している菌です。

普通に持っている菌なので、彼等はサルモネラ症を起こしませんが、人間の体内に入ると大暴れする事になります。

 

腸内に保有しているので、水棲種や半水棲種であれば水中での排便と共に水場へと拡散します。

広い意味で言ってしまえば、どこにでも居る可能性がある菌と言えるでしょう。

 

グリーンイグアナを飼っていてキチンと掃除をせず、ウンコをそのままにしておいたら、ウンコが風化してエアロゾルと化し、吸い込んで発症したなんて例もあります。

動物に触ったら、石鹸で良く手を洗う!これを徹底するだけで防げる病です。
(ウンコ放置は論外です…手を洗わないのも、もちろん論外の基本ではありますが…)

 

逆に言えば、動物に触ったり、池の水を触って手も洗わずにおにぎりを食べれば、自ら病原菌を取り込んでいるのですから、発症するのも当然と言えます…(ミドリガメ事件の子供はまさしくコレでしたw)

小さな子供やお年寄りなど、免疫力が落ちるとかかりやすくなり、症例の報告もこうした年齢層に多いです。

人獣共通感染症(ズーノーシス)まとめ

 

まとめ

 

動物由来感染症(ズーノーシス)は非常に身近で起こりうる病ですが、幸いなことに日本ではあまり知名度が高くありません。

知名度が高くないと言う事は、そこまで身近な恐怖ではないと言うことです。

 

日本で感染する危険のあるズーノーシスは、多くが手洗いうがい、日々の衛生管理など、当たり前の事をするだけで防げる病気ばかりです。

 

とは言え、犬や猫などのペットにちゅっちゅしたり、下手に擬人化して人間扱いすると、大変危険です。

今回取り上げた病気も、ズーノーシスの一端にすぎませんし、動物を飼っていない人と飼っている人では、
免疫力にも差があるので、同じ病気でもかかった際の症状やかかりやすさにも差があります。

・動物および動物達の使う道具に触れたら、石鹸での手洗いを必ずする。

・動物のケージはマメに掃除する。埃っぽい場所を掃除する時にはマスク等を着用する。

・海外では犬猫を含め、無暗に動物に接触しない。

・動物との接触経験が少ない人が動物に関わる時には、事前にも事後にも十分注意する。

こんな所でしょうか?

厚生労働省のHPではより詳しい解説がなされておりますので、興味が湧いた場合には一読してみるのも良いでしょう。

厚生労働省HP

ここでは啓発用にハンドブックのDLも可能です。

この記事が少しでもお役に立てたのなら幸いです。

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