国内に居る美しい虫の筆頭と言えば、コイツ。
タマムシです。
虫の出す色とは思えない程の派手なカラーリングで、全身がまさしく、玉虫色です。
(語源の元となった虫なので、当然と言えば当然ですがw)
はてさて、そんなタマムシですが、あまりに美しいせいか、やたらと盛られてしまい、あることないこと迷信が積もり、古来から色々な期待が重い模様です…
今回はそんなタマムシについて、有る事ない事言われている迷信をぶった切りつつ、プロフィールから採取方法、飼い方まで、ざっくりと解説してみようと思います。
タマムシってどんな虫?
全身がメタリックな緑ベースのカラーで、見る角度によっては赤にも青にも黄色にもなる、非常に美しい「昆虫」です。
ハンミョウと同じく美虫として取り挙げられる事も多い本種ですが、ハンミョウと比べるとかなりでかいので、インパクトもでかいです。
コウチュウ目タマムシ上科に居る連中の総称ですが、日本でタマムシと言えば、ほぼヤマトタマムシの事を指します。
カミキリムシやハムシに近い生き物で、木に卵を産み付けて、幼虫がガリガリ食害をもたらす等の生態も微妙に似通っている部分があります。
とにかく、虫としては規格外の美しさを誇る為、ちょいちょい持ち上げられがちですが、所詮は昆虫です…
過度な期待は禁物ですw
タマムシの生態
タマムシは6月から9月にかけて出現する、夏のみの生き物で、私の感覚としては豪華なセミみたいな奴です。
エノキやケヤキなどのニレ科広葉樹の葉っぱを食べるので、自宅の庭先や生活圏内にこれらの樹木があると遭遇し易いです。
と言っても、連中はこれらの木々の高い所に来るので、観察は容易ではありません。
タマムシを見つけようと思ったら、夏の暑い日差しの強い時間に、木の上の方でキラキラ光るなにかが居ないか探してみましょう。
高枝切り狭などで、高い所にある枝先を軽くぶった切ってやると、臭いに釣られてその周囲に集まりがちです。
また、掴まれたりして身の危険を感じると、足や触角を折りたたんでアーモンド形態になり、死んだふりをかまします…
タマムシの採集方法
一番手っ取り早いのは、エノキやケヤキの高い所の枝をぶった切って放置しておくことです。
臭いに釣られて勝手に集まって来るので、虫取り網で捕まえましょうw
ぶった切る枝の部分を、網が振りやすい位置にするのもコツの1つです。
高い所をブンブン飛んでいるので、そのままでは市販の虫取りでは柄が短く、届かない事がほとんどでしょうから、事前に長い竹などを接続して、必要な長さにしておきましょう。
そこまで早いスピードではない為、飛んでいるタマムシをそのまま、がっ!と捕まえるのが一番です。
(直接振りかぶるより、半回転させて網の中に巻き込むイメージで網を操作すると、上手く捕まえやすいです)
樹に止まられると高い場所なので、逆に見つからなくなり、捕らえられません…
また、タマムシの卵は、エノキ、槇、棗、リンゴ等の樹皮の割れ目や傷跡に生み付けられ、それらの朽ち木などにも幼虫が居る為、該当する木の朽ち木を見つけたら回収してみるのも一つの手です。
(家ではオオクワガタの幼虫を朽ち木ごと拾ってきて育てる事が多々ありますが、外道としてタマムシが良く出てきますw)
その生態故に、美しさに反して、リンゴ農家などでは木を食害する悪党として認識されておりますw
いずれにしても、上記の方法が取れるのは、自然がそこそこ残っている場所となりますので、都会ではやや現実味にかける方法となります。
タマムシを捕まえようと思ったら、最盛期である7月~8月ごろ、周囲に自然が多く残っている場所のエノキやケヤキの高い場所を良く観察しましょう。
タマムシの寿命
成虫としての寿命は1か月もありません。
命としては幼虫時代の方が長いタイプです。
セミと似たような感じです。
タマムシの飼い方
寿命が極端に短い為に、飼うと言うよりは、ひと夏だけのキープと言う方が近いかもしれません。
・プラケース(中サイズ以上)
・エノキやケヤキの葉(枝を含む部位ごと入れる)
・水入れ(エノキやケヤキの切った枝をつけて鮮度を保つ用)
これだけで寿命が尽きるまで持ちます。
ひっくり返って起き上がれない事も多々あるので、水に付けた餌用の枝&葉っぱと、
床材としても機能させる、底に置いた枝&葉っぱの両方を入れておきましょう。
タマムシの管理
タマムシ自体と言うより、中に入れたエノキやケヤキの葉っぱの鮮度を維持するのが日常となります。
この葉っぱ付きの枝が餌であり止まり木であり、シェルターです。
馬鹿みたいな勢いで終始食べ続け、鮮度もみるみる落ちて行きますので、できれば毎日新しい枝と交換するのがベストです。
切った枝を水につけておけば2~3日は持ちますが、鮮度が失われてシオシオになったりカサカサになったりすると、タマムシの方が餌だと認識しなくなってしまいます。
水入れはあくまで鮮度維持のアイテムなので、タマムシが間違って水没しない様に、栄養ドリンクのビンだったり、小さなタッパに水をたっぷり吸わせたスポンジを入れてそれに突き刺すなど、工夫しましょう。
水入れの水を飲む事はまずありません。
水分は葉っぱから取っている様です。
葉っぱの鮮度が保たれている限り、とにかく食べまくりウンコをしまくるので、掃除も毎日行う必要があります。
たった1匹を飼っているだけなのに、1日で中サイズのプラケースの底がウンコまみれになります…
毎日の掃除と、枝葉の鮮度維持。タマムシの管理はこれに付きます。
しっかり管理していれば、羽化して木から出て来た直後から飼えものなら、3週間~4週間は観察可能です。
それ以降はいつ死んでもおかしくないので、そういう生き物だと割り切りましょう…
野生で飛び回っている物を捕まえたのなら、すでに羽化から時間が経っているので、1週間ほどで死ぬ事も少なくありません。
また、雄雌を同時に入れておけば勝手に交尾もしますw
エノキ、槇、棗、リンゴ等の朽ち木や半生の樹も同時に入れておけば産卵もしてくれるでしょう。
タマムシは珍しいのか?
こんな色彩の虫はなかなか居ない!
と言う意味では珍しいですが、生物として数が少ないのか?と言えばそうでもありません。
居る所には割といます。
ただ、私の近況の話をするなら、宅地開発される前は家の前にあったエノキに毎年やって来ましたが、現物が切り倒されて以来、野生のタマムシにはトンとお目にかかっておりません…
元々、高い所に飛来する生き物なので、エノキやケヤキがあっても見つけようと思って観察しなければ見つからない生き物ですが、存在自体が自然の減少と共に減っているのも確かです。
私の居住地は、自然の残る部分と建造物が並ぶ所でかなりの差がある、中途半端なベットタウンなので、山側の周辺では遭遇率も高いですが、宅地開発された所ではまず見かけません…
なので、珍しいか否かは人に寄りますw
居る所には居るし、居ない所には居ないタイプの虫です。
タマムシをタンスに入れると幸運を呼ぶ?の嘘と本当。
嘘か本当かと言われたら・・・
まぁ、嘘としか言いようがないのですが…w
古来より美しい虫代表だったタマムシは、しばしば、こうした迷信のネタとして取り挙げられます。
タマムシの色彩は構造色と言われるもので、それ自体には色はないものの、複雑な構造によって光が反射して様々な色彩となる物です。
わかりやすく言えば、シャボン玉の色彩やCDやDVDのディスク表面が七色に光るアレと同じ原理です。
なので、死んでも色合いの美しさが失われません…
こうした稀有な現象から、昔の人々から非常に珍しいもの扱いされてきました…
とは言え、どこをどうしたらタンスにタマムシの死骸をIN=衣装が増えるとか、幸運を呼ぶとかって話になるのかは、飛躍しすぎてて謎ですが…
まぁ、昔の質素な着物ばかりの頃に、箪笥の片隅に綺麗な虫の死骸があれば、なんとはなしにご利益がありそうな気がしなくもないですが…
家の母親も、熱心なタマムシの死骸を箪笥にINする信者でしたが、特にご利益はありませんでしたw
てか、常識的に考えれば、死骸が箪笥に入ってるんです。
変な虫が湧いても不思議はありません。
むしろ衣装が減る(痛む)可能性の方が科学的には高いですw
どんだけ綺麗な死骸でも、死骸は死骸。内臓とかは普通に腐ってます…
まぁ、家の母親もそうですが、言って聞く様なタイプならこんな迷信、端から信用しませんw
どれだけ理詰めで説いても、感情優先の人々には通じませんので、
「タマムシの死骸をタンスに入れておけば幸運が来るのよ!」
とか、
「タマムシの死骸のおかげで虫がつかないのよ!!」
とか自信満々に言う人には、「へーそうなんだー」ぐらいのスタンスで挑んでおきましょう…
理屈で語っても無用なトラブルを招くだけです。
てか、普通に防虫剤買え、我が母よ…
なんども言いますが、死体は腐るものです。
クワガタやカブトムシだって、ボディはそのまま延々残るけど、死ぬと普通に臭いですよね? タマムシも変わりませんw
タマムシについて まとめ
タマムシは非常に美しい生き物ですが、その命は非常に儚く脆い生き物です。
飼うとなれば、数週間で死ぬ命です。
死後も美しさを損なわないのは、独特な身体構造故ですが、それが大きな神秘性を帯びており、法隆寺の宝物「玉虫厨子」の装飾として使われたりもしています。
そうしたアレコレもあり、虫として見た場合、その美しさや神秘性は目を見張るものがありますが、それでも虫は虫です。
箪笥にINとか、幸運を呼ぶとか言うのは人間の勝手な妄想なので、デマ情報に踊らされない様にしましょうw
どうしても死体を保持したいのなら、キチンと標本として管理されているものを購入した方が無難です。
間違っても、私のおかんさまの様に、死体をなんの防腐処理もしないままに、そのまま箪笥に放り込んでしまうような暴挙だけは、しないようにしましょうw
この記事が少しでもお役に立てたのなら幸いです。