アメフクラガエルを飼育する上で、大切な床材について!
アメフクラガエルは地中に住む特殊なカエルです。
飼育設備の中でも「床材選び」が、アメフクラガエルの長期飼育の鍵を握ります。
アメフクは人気は高いものの、その生態故に初心者キラーですので、油断ならないのです…
自宅に連れ帰ったあと、土だけが置かれている飼育ケースを見て絶望する…
そのまま飼って、数か月から数年で死なせるのがデフォ…
アメフクは、土を飼うと言っても良いレベルで、とにかく床材の状態が命に直結します。
間違った管理も致命的ですが、そもそも土の選択を間違えていたら、最初からアウトです。
ちなみに、アメフクラガエルの床材で良く聞く良い床材は赤玉土ですが、個人的には黒土が良い床材だと思っております。床材にもそれぞれ特徴がありますので、詳しく解説させていただきます。
今回は、そんなアメフクラガエルの床材について、
- そもそも床材なしで飼えないの?
- 床材の種類や値段
- 購入した床材の使い方
- 使ってはいけないNG床材
- 土の管理
等々についてです。参考にしていただければ幸いです!
アメフクラガエルは土なしでも飼えるのか
定番ガエルを数年程飼育した、脱初心者ぐらいになった頃、たまにこんな発想に至る人が居る様ですが…
無理ですw
ツノガエルやバジェットガエルの様な、ライト感覚で飼える生き物ではありません。
人工繁殖が根付いたペットカエルと、生態すらイマイチ解明されていない、野生採集オンリーな地中棲カエルを同じにしてはいけません。
管理の基本が土の維持なのに、それをぶっちぎってしまったら、待っているのは死だけです…
ベテランの間では、状態良く飼えば飼うほど姿が見えず、飽きるカエルとして有名です。
姿を見て飼いたい場合は、アリ飼育ケースのような薄っぺらい飼育ケースを自作する必要があります。
それでも常時明るい環境はNGなので、側面をダンボールや板で覆って、観察時以外は暗くしてやりましょう。
床材の敷き方
ショップでは初期の餌付けと商品を見せるアピールの為、あえて姿の見える浅い土で飼われている事がありますが…
これは一時的な物であって、自宅へお迎えした時には不可能な飼い方です。
ずっと浅い土ではストレスをため込んでしまい、ある日突然、お亡くなりになります…
星になる時の直接原因は大体が細菌感染ですが、ストレスが溜まれば免疫力も下がる為、細菌感染の引き金となってしまいます。
そうしたメンタル面以外にも、乾いた環境を好む為、細かい傷を体に負いやすいカエルです。
ただでさえフィジカル面で難がある所に精神的にも追いやられたら、お察しです…
また、土の湿度管理と言う意味でも相応の深さが必要になります。
上段へ行く程、乾燥させた床材にする必要があります。
最上部の地表部分はカラカラに乾燥させるぐらいで、丁度良いバランスになります。
アメフクは草原から乾燥地帯、森林まで幅広く棲息しているカエルですが、基本的には乾燥地帯に住むカエルです。
カラカラに乾いた床材で生活していて、水分は下部にある湿った土から吸収するのが基本スタイルとなります。
カエル自身に土の湿度を選ばせる必要があるので、必ず、湿っている、普通、乾燥 の3段階の地層を作りましょう。
床材の種類と値段
アメフクは乾燥を好むカエルなので、乾燥系の荒い床材で細かい傷が体に付きやすく、そこから感染症に繋がります。
初心者では、この乾燥と怪我のし易さのバランスが取り辛く、簡単に死なせてしまう事も多々あります。
乾燥と湿気、怪我のし易さのバランスを取って床材を選ぶ必要があります。
赤玉土
赤玉土は、アメフク飼育に一番適していると言える床材です。
ぶっちゃけ、この土だけでも飼えます。…悩んだら、まずは赤玉土で飼育してみましょう。
アメフク自体が小さいので、赤玉も極小~小あたりの物を使用しましょう。
注意!
乾燥維持はし易いものの 体表に怪我をしやすい硬い土なのがネックです。
ヤシガラ
ヤシガラは所謂、補助床材です。
砕いた木とも言える物なので、コレ単品での使用はNGです。
必ずほかの土系床材と混ぜて使いましょう。
ヤシガラ以外でも、木をベースにした床材はメインとしては不向きです。
注意!
アメフクのみならず、あらゆるカエルで木材系はあまりお勧めできません
ミズゴケ
カエルの飼育で多用されるミズゴケは、保水力が強すぎて乾燥系であるアメフクとの相性は最悪です。
アメフクのみならず、湿度を必要とするパグガエルなどの地中棲カエルとも相性が悪いので、地中棲のカエルには使わない様にしましょう。
黒土
様々に利用できる万能土ですが、保水力が強すぎて、アメフクとの基本相性が良くない為、扱いには慣れが必要です。
反面、湿度管理が完全にできる人にとっては、最高のベースアースと言えます。
他の土とも相性は良く、応用が利きます。
鹿沼土
保水性がやや上がった、赤玉土の様な土。
見た目で湿り具合が分かりやすいので、一番下の床材として使うとグッド。
メインとしては保水性が強すぎてやや使いづらいです。
赤玉と同じく、小粒~中粒あたりを使用します。
アメフクラガエルの床材の作り方
あくまで個人的な見解ですが、アメフクは捕まった地域によって好む環境がチガウ生き物…の様な気がします。
森林付近に居たアメフクと、乾燥した草原で暮らしていたアメフクでは好む土に違いがあっても不思議はありません。
飼育者の間でも、完全にガチガチの乾燥系が良いと言う人と、ある程度湿り気が必要と言う人で意見が別れるのは、この辺りを原因としたものではないのかなぁ…と…
まぁ、現地での生息状況を直接確認したワケではないので、あくまで想像ですが…
それはさておき、長期飼育ができない人の典型が、浅い土で飼い続ける人です。
目の前で餌をパクパク食べていても、浅い土での飼育は長い目で見るとNGです。
1年2年は問題なく飼えても、それ以降では積もり積もった不安が出てきます。
必ず、全身が深く潜れて、土の重みが全身にかかる程度の深さが必要になります。
状態良く飼う場合は、どんなケースを使っても、7割から8割は土で埋まります。
姿が見えない状態こそ、ベストなカエルです。
(深く潜れるのに表層で顔を出して居る…なんて場合は問題ありません)
- 上層・カラカラに乾いた土(手で握ってもサラサラと落ちる状態)
- 中層・少し湿った土(がっつり握ると手につく程度)
- 下層・湿った土(軽く握るだけで、やや手に付く程度)
どんな土を選んでも、最低限、こうした3層の湿り気を作ります。
赤玉土を選んだ場合
ベースアースに赤玉を選んだ場合は、全部赤玉にするか、最下層を黒土か鹿沼土にして保水性を上げます。
水はけが良い土なので、下層の湿度維持がやや難しい為です。
(匙加減が難しく、下層がベタベタになり過ぎる事が多々あります)
中層の少し湿った状態も維持し辛い為、場合によっては中層部分にも鹿沼土や黒土を混ぜるとバランスが取りやすいです。
ヤシガラを選んだ場合
基本的には黒土と混ぜて使います。
細かい木材なので、水はけが良く保水性が高すぎる黒土の補助床材になります。
(元々水はけの良い赤玉とは相性最悪です。細かな目に見えないかすり傷が加速します)
ぶっちゃけ、無くても問題ありません…
てか、どんなカエルでも無駄に細かい怪我をして寿命を縮めるので、私はあまりこの類の物を好みません。
アメフクの場合は、6年ほど黒土と併用していましたが…
もしかしたら、これを使わなければ、もっと長生きしたかもしれません…
ミズゴケを選んだ場合
ミズゴケはアメフクの飼育では使いません。
カエル飼育に慣れると、一番最初に頭をよぎる床材ですが、
水を含ませて使う為、アメフクとの相性は最悪です。
単品で使えば、即調子を崩してしまうでしょう…
黒土を選んだ場合
万能土とも呼べるものなので、個人的には一番お勧めですが、
初心者だと、体感で湿り具合や傷み具合が分かり辛いのがネックです。
アメフクに使うベースアースとして黒土を選んだ場合は、保水性が高い事に注意が必要です。
最下層数センチをやや湿らせたら、あとは袋に入っていた時のふっくらした程度の状態を、
そのまま放り込めばだいたいOKです。底が乾くまではほぼ手入れの必要もありません。
上層のみ炎天下で干して、白っぽくなるまでカラカラにしてから使うと、理想的な環境が直ぐに作れますが、
袋から出して即使っても、そのうち上だけが勝手に乾いて行くので、面倒ならそのままでも大丈夫です。(てか大丈夫でしたw少なくとも6年はw)
私は最下層~中層にヤシガラを混ぜていましたが…今思うとヤシガラは不要だったな…
ヤシガラ有り無しでも、大丈夫なのですが黒土は保水性が強い!って事に気を付けて、全体のバランスを取る事が肝心です。
※黒土を使うと指先が溶けるなんて話を小耳にはさみましたが…おそらく掃除の匙加減が分からずに細菌が大繁殖してしまい、指先を使って潜る→指先に細かい傷ができる(普段は平気)→雑菌が多すぎて感染→指から溶ける。の流れではないのかと…指が溶ける頃には全身に菌が回っているでしょうから、病院へ直行してもそのままお亡くなりになるでしょうw
黒土のせいではなく、飼育者の方で土の管理ができなかった…だけではないかと思います…
(他の土と比べると、初心者では汚染具合が分かり辛いので、黒土のせいとも言えるかもしれませんが…)
保水性が高いので、赤玉土などと比べると黒土は細菌の増殖スピードも速いです。
長期間、なんのメンテもせずにずっと使い続けると、糞尿の分解バランスも崩れて即汚染土となります。
なにもなくとも、1か月~2か月を目途に全部取り換えましょう。
床材に土以外は?代用品
今の所、土以外の代用品で良い物はありません…
良いと言われる赤玉土でさえも、個人的には使いづらく、適しているのかも物議をかもします…
赤玉を使うのであれば、爬虫類用のソイルなどでも代用できますが、値段が高い上に量も少なく、赤玉より硬いので怪我もしやすいとマイナス面しかありません。
ソイル使うぐらいなら、赤玉の方が良いでしょうw
アメフクラガエルの床材管理の仕方
3段階の湿り気を作る関係上、最下層にのみ給水したいシーンが多発します。
壁際からそ~っと水を垂らしても、どうしても全体的に湿ってしまうので、
隅にストローや塩ビパイプをあらかじめ差しておき、下層への給水パイプとして使うのが便利です。
中サイズのプラケなら1本で間に合いますが、大きいケースであれば必要に応じて数を増やしましょう。
霧吹きなどを使って、個体を濡らしたり、全体を湿らせたりするのはNGです。
床材の入れ替え頻度?使いまわしができるのか
床材の使いまわしは厳禁です。
必ず、清掃時には新しい土と全て入れ替えましょう。
糞尿や雑菌が混じった土と新しい土を混ぜれば、土が全部ダメになるスピードもその分早くなります。
大体どんな床材でも1か月~2か月を目途に、何もなくとも全部取り換えるのが理想です。
餌付けの初期段階などで、浅い土で飼っている時には数週間~1か月を目途に全部取り換えましょう。
※濡らし過ぎたりした時には、即全部取り換えてセットし直す必要があります。
個体の大きさに対して土の量が多い為、糞尿などの老廃物で土が痛むスピードが、
他のカエルと比べたら遅いですが、それでも雑菌などは少しずつ増えていきます。
ケース掃除の仕方
土を全部出してケースを洗い、また同じ様に土を入れなおすだけです。
ウンコが上層に転がっていたら、発見した時に即取り除きましょう。
まとめ
アメフクラガエルは、元々乾燥地帯に住む関係上、多湿な日本の気候とは相性の悪いカエルです。
ベテランでも突然死を起こす、難物です。
キチンと飼えば10年以上は生きると言われるカエルですが、そんな難物故に3年以上飼える人は非常に稀です…
人工繁殖も進んでおらず、現地の繁殖期にしか捕まらない情報の少ないカエルなので、
飼育下でも繁殖に繋がるような、絶対的に正しい飼い方が見つかっていません…
床材に関しても、これから先、飼育者が増えて技術が上がれば、より適したものが見つかるかもしれません…
今回のお勧めは、あくまで私の飼育経験と、良く言われるお勧め品を含めた紹介となります。
個人的には黒土のみで乾燥層~湿度層まで作るのがお勧めですが、黒土は初心者だと土の状態が分かり辛いのが最大のネックです…
※袋に入って販売されている状態が、大体中間層にマッチする湿り具合なので、それを基準にしてもらうとわかりやすいかもしれません。
カエルに強いと言われるプロショップの店員でも、「地中棲のカエル」を5年も10年も飼える人は非常に少ないです…
飼っていても面白くないので、1度失敗したら最後、プロでもアマでも次にまた飼おうと思う人が少なく、なかなかベテランが育たないためです…
ベテランがいない為に正確な情報も少なく、野生下の生態も普段の観察ができないので、細かい部分は解明されていません。
アメフクの飼育は、多くが、だろう恐らくの連続で、曖昧なまま現在の飼育スタンスが作り上げられています。
(概ね正解な気はしますが、人気に反して人工繁殖が確立されてはいない事が、色々物語っております…)
・良く聞く良い床材は赤玉土
・個人的には黒土
長く書きましたが…結局は↑の二言で済んでしまう内容ではあります…
この記事が少しでもお役に立てたのなら幸いです。