多くの人は、蛇に出会ったのなら、ぎゃあ!となることでしょう…
人間が蛇を恐れるのは、サルだった時代に蛇が天敵だった!
という事から、現在でも、
- 本能的に恐れると言われている説
- 周囲の人間が恐れるので、反応を見て学習した結果、恐れる様になったという説
の、二通りあるようです。
個人的には現代では、後者の影響の方が強い様に思えます。
蛇に危害を加えられたので恐れる様になった。と言うのなら怖がるのもわかりますが、実際はなにもされていないのに、恐れるケースがほとんどです。
事実、小さい子供ほど蛇やトカゲなどの爬虫類を恐れない傾向にあります。
世界的に見たら蛇は種類も多く、噛まれた事による死亡事故が日常的に起こっているのに加え、毒蛇と無毒蛇の区別も難しいので、全ての蛇を恐れるのも仕方がない事なのですが…
日本の種に関して言えば、毒蛇はほんの数種類しかいません。
そのほんの数種類の為に、全てが恐れられてしまっているのはちょっと可哀想です。
そこで今回は、そんな、道を歩いていた時にひょっこり出会う可能性のある、日本の本州に生息する蛇についてご紹介してみたいと思います。
日本に生息する蛇の種類や生態
アオダイショウ
出会いの確率は割りと高い!最大サイズは日本一!アオダイショウ
掴むとなんだか草をすりつぶした様な臭いを放つ蛇。それがアオダイショウです。
青臭いにおいを放つから青大将。あるいは青っぽい色をしているからこの名前が付いたと言われております。
※正確には若草色に茶色が少々混じったものですが、信号の青はどう見ても緑なのに青と言い張る的な青)
サイズは平均して大人になっても1.5メートルほどですが、大きい物であれば2メートルを越える物も少なくありません。過去には2.5メートルもの大物発見例があるようです。
子供の内は全身に銭型模様があるので、詳しくない人からはマムシと混同されがちです。
天然記念物である岩国の白蛇は、このアオダイショウのアルビノが根付いた物です。
水辺や山中、木の上、人家付近とあらゆる場所で出会う可能性があります。
シマヘビ・カラスヘビ
縦縞があるからシマヘビ!?所によりカラスヘビ!?
このヘビは縦に二本、黒い筋が入っているのでシマヘビと呼ばれています。
大きさは最大で1.5メートル前後と、平均的なヘビです。
雄の気性が荒い傾向にありますが、模様以外には取り立てて特徴のない地味な蛇です。
はじめてペットとしてヘビを飼うのならお勧めです。
アオダイショウと同じく、水辺や畑などわりとどこにでもいるヘビですが、一部の地域では、全身真っ黒になったカラスヘビと呼ばれる地域差のある個体もおります。
毒蛇 ヤマカガシ
日本最強の毒を持つ毒蛇!?ヤマカガシ
日常的に出会う可能性があり、図体もでかく、毒性も強い蛇。
そんな最悪と言っても過言ではない毒蛇がヤマカガシです。
ですが、ヤマカガシには有名なハブやマムシと違い、注射器の様な明確な毒牙がありません。
強いて言えば、奥歯がそれに該当する後牙類と呼ばれる種類で、毒を注入する類の蛇ではなく、傷口から染みこませるタイプの毒蛇です。
このおかげで、噛まれたとしても毒が入り辛く、長い間はむはむされでもしない限り、人間がその毒にやられる可能性は低いです。その為、長い間、毒蛇だと思われておりませんでした。
昔はそれこそ、祭りの夜店で売られている事もあるほど、無害な蛇と信じられておりましたが…立派な毒蛇です!
★★★
参考までに、
日本三大毒蛇の毒の数値は、
(数値が小さいほど毒性が強い)
- ヤマカガシ LD50=5.3 (mg/kg)
- マムシ LD50=16 (mg/kg)
- ハブ LD50=54 (mg/kg)
このように、ヤマカガシは、数字だけで言ったら、猛毒で恐れられるハブやマムシより凶悪で、堂々の第一位。
こいつの毒性はマムシの3倍、ハブの約10倍の強さです。
毒の強さだけで言えば日本最強なのです!
無毒の蛇に噛まれた場合は、無理矢理引き離すとノコギリの様な歯をしている事から傷口が酷くなってしまいますが、ヤマカガシに噛まれた場合は大事の前の小事。
毒が染みこむ前に無理にでも引き離さないといけません。
おまけに餌のヒキガエルからも毒性を吸収して、首の後ろに蓄えております。
総じて1.5メートルほどのヘビですが、2メートルに届く大物もいる大型種なのも危険要因の一つです。
このヤマカガシという蛇はカエルを好む蛇なので、水辺に多く生息しており、個体数も多いので、自然の少ない都会でも遭遇率が高く、さらに言えば、身体の模様や色が地域や個体によって様々です。
顔や存在感で判別しなくてはならないので、見慣れていない人では多種との区別も困難です。
ヤマカガシは、
- 日本最強の毒性
- 遭遇頻度が高い
- サイズもでかい
- 模様や色彩の個体差や地域差が激しく、慣れないと種の判別が付き難い
- 首の付け根にも毒腺があり、ここを攻撃すると毒が飛び散る
などなど、総合危険度の高い、極めて厄介な蛇です。
と、これだけ脅しておいてなんですが、実際問題としては、掴んだりしなければ噛まれることはほぼありません。
ヤマカガシでの死亡例の多くは、知識もないままに弄んだ結果、噛まれても大して痛くないので「平気だぜw」なんて面白がった輩の末路です。
極々稀に向かってくる馬鹿が居ますが、そう言った事例は100回に1回あるかどうかです。
その場合でもダッシュで逃げれば追いつかれる心配はありません。
ヒバカリ
噛まれたらその日ばかりで死ぬ!迷信がそのまま名前になった奴!ヒバカリ
大きくなっても精々60センチ程度の小型ヘビ。そいつがヒバカリです。
カエルやオタマジャクシ、ミミズを専門に食べるヘビで、ネズミを襲う事はありません。
噛まれるとその日の内に死んでしまうと言われてこの名前が付いたようですが、実際は無毒で大人しいヘビです。
顔つきや好む生息環境がヤマカガシに似ており、分類的にも近いので、間違えられたのかもしれません。
↑
私の父親は完全にヤマカガシとヒバカリを混同し間違えてました!!
生息数が特に少ないわけでもなく、ある程度絞った範囲の探索で遭遇できる種ですが、狙って捕まえられる物でもないので、出会ったらプチラッキーな種です。
ジムグリ
レア物代表!ジムグリ
日本のヘビを愛好する人の間では珍重される存在。それがジムグリです。
餌のネズミを追いかけて土中に潜ることから、この名前が付いたようです。
大人になっても精々1.5メートル程の大きさで全体的に茶色の地味なヘビですが、生まれたばかりの赤ちゃんは、真っ赤で毒々しい色合いをしており、初めて出会った時のインパクトは想像を超えます。
大人のジムグリしか知らなかった子供の頃の私は、この、ジムグリの子供を見て、新種発見じゃなイカ!とはしゃいだ事もありました…
この赤みが大人になっても残る個体は赤ジムグリと呼ばれ、より珍重されます。
ジムグリは自然の多い場所でなければ出会う可能性も低く、また活動時間も夕方や朝方と限られる事から、遭遇率の低いレアヘビです。
国内の生き物は総じてペット屋で値が付くことも無く、売られていないのが普通ですが、ジムグリは専門店でも1万円前後から売られております。
現在では、実質、爬虫類の通販がほぼ不可能なので、捕まえたら爬虫類店に持ち込んで買取を相談してみるのもありでしょう。
シロマダラ
ジムグリを超えたスーパーレア種!?シロマダラ
生息数が少ないわけでもないし、どこにでも居るけど、出会えない。
そんなスーパーレアな種がシロマダラです。
子供の頃から爬虫類両生類が好きだった私も、売られている個体意外では出会った事はありません。
白と黒の縞々模様なのでシロマダラと呼ばれています。
トカゲやヘビと言った爬虫類しか食べない特殊なヘビです。
サイズ的にはヒバカリと同じぐらいの小さなヘビなので、餌の維持が辛く飼育は困難です。
本当か嘘か、どこかの学者が狙って出会うのは宝くじを当てるのより困難!なんて語った逸話もあるヘビです。
出会えたら超絶ラッキーな種です。
タカチホヘビ
七色の光沢が美しい!!タカチホヘビ
漢字で書くと高千穂蛇。発見者の名前が付けられた種です。
60センチ程度の蛇で、ミミズや虫の幼虫を食べる蛇です。
全身に七色の光沢があり、太陽光の下で見ると非常に美しい蛇ですが、意外と出会うことは少なく、狙って捕まえるのは困難です。
毒蛇 マムシ
代表的な日本の毒蛇! マムシ
日本を代表する毒蛇と言えばコイツです。
頭部が三角形、長い毒牙、高い隠密性と、毒蛇の代表に恥じない特性を持っています。
見た目的には三角形の頭部と全身に銭型模様が入ってるのが特徴です。
ただ、ヤマカガシの項目で触れた様に、毒そのものの強さはそうでもなく、その量も普通です。
では、なにが怖いの?
と言えば、その注入率です。
毒に頼った蛇なので、ぱっと噛んで直に離し、獲物の反撃から身を守るタイプなので、噛んだ瞬間には毒の注入は終わっており、一発で重篤な被害に繋がりかねない危険な蛇です。
唯一の救いは、遭遇率そのものが低い点。
知名度に反して、自然が豊かな場所以外での遭遇はほぼありません。
と、本州の蛇についてはこんな感じでしょうか?
まとめ
日本に生息する蛇は種類自体は多いのですが、その多くは沖縄方面や各離島に生息する物が多く、本州に絞った場合はそんなに多くありません。
代表的な毒蛇のハブも本州には生息していないので、本州に住まう人々にとって日常で気をつける毒蛇は、マムシとヤマカガシだけとなります。
マムシの生息域は自然の減少と共に年々減っており、被害の多くも生息域と日常が被ってしまう人々に限られますが、ヤマカガシはどこにでも居る大型の蛇で、誰でも遭遇のリスクがあります。
蛇はこちらから手を出さなければ逃げていく事がほとんどなので、奴等と出合ったら関わらないのが一番です。
ここまで紹介しておいてなんですが、明確にどの蛇かわからない場合は全部スルーした方が無難です。
全部の蛇が嫌われ、怖がられる要因は、この、わからないから全部スルーの精神が定着した物でもあるのでしょう。
彼等と関わろうと思ったのなら、正確な知識と対応を身につけてから挑みましょう。
また、ヤマカガシやマムシなどの毒蛇を飼うのには、自治体の許可が必要です。
毒蛇と言う性質上、惹かれる人がいるのは確かですが、日常的な危険が付きまとうだけでなく、
無許可での飼育は法令違反になり逮捕されますので、どうしても飼いたい場合は自治体に申請した上で、かつ、死ぬ危険も覚悟の自己責任で飼育しましょう。
次の記事では、それぞれの捕獲方法や飼育についても触れてみようと思います。