爬虫類を飼う際に最もネックとなるのは、生息環境の再現です。
昨今では機材の質が向上した事により、湿度や温度と言ったものであればある程度理想に近い物を構築できる様になりましたが、依然として付きまとうのは、「餌」の問題です。
環境が適していないと餌を食べないのが爬虫類の特徴ですが、その「環境」には餌自体も含まれます。
動きが気に入らない。色が気に入らない。食感が気に入らない。純粋に調子を崩している等々。
餌を食べない理由は多岐に渡り一概に言えませんが、コオロギは虫を食べる多くの爬虫類&両生類に適した餌です。
大体の虫食いに受け入れられる動きと速さ。に加え、頭胸部の硬さと腹部の柔らかさのバランスから食感的にも好まれます。
個体の嗜好性による差や調子の低下を理由とした拒否以外であれば、大体受け入れられるでしょう。
増えやすく育ちも早い。餌付きもそれなりに良い。そんなコオロギ連中ですが、問題もあります。
1つは手を抜くと簡単に全滅する!と言う事。そしてもう一つは栄養価のバランスが悪いと言う点です。
今回はそんな彼等の維持管理について解説してみたいと思います。
爬虫類の生き餌 コオロギの種類!
爬虫類の餌コオロギの種類は、2つ。
黒くてでかいフタホシコオロギと、白くて普通なイエコオロギ!
流通している餌コオロギには、フタホシコオロギと、ヨーロッパイエコオロギの2種類があります。
双方共に餌や管理方法はほぼ共通ですが、身体的特徴や性質はやや異なります。
フタホシコオロギ
フタホシはフルサイズになると、日本で言う所のエンマコオロギを彷彿させるぐらいの大きさになり、色合いも似たような黒褐色です。
イエコと比べて大きいので、その分、同じキープ数でも大きな入れ物が必要になります。
共食いもイエコと比べたらかなり激しく、慣れない内は全滅させやすい種類です。
イエコオロギ
イエコオロギは全体的に白いです。
正確には乳黄色~薄い茶色と部位による差がありますが、お腹は一様に乳白色です。
サイズの方もフタホシと比べたら小さいです。
共食いに関してもフタホシと比べたら少しはマシですが、生き物全体で見たら凶悪なレベルで共食いをする事に変わりはなく、管理に慣れない内は最終的に絶滅。あるいは与える量に対して育成スピードが追いつかなくなります。
餌コオロギの注意点 放置厳禁!共食いの恐れ?
100匹買ったのでしばらく大丈夫!?かと思ったら程なくして全滅!?
どちらの種も共通して問題になるのは「共食い」です。
共食いの恐れ
- 餌や水が足りなかったり
- 飼育スペースが狭かったり
- 繁殖スペースが狭かったり
すると、ガリガリ減って、ケースに転がる死体がもりもり増えて行きます。
死体を放置しておけばそれを食べるので、その分被害は減るかと思いきや、完全に腐ったりガビガビに乾燥してしまえば食べませんし、そこからダニが沸いて地獄絵図と化します。(>_<)
腹がなくなっている死体は、マメに取り除いた方が良いです。
100匹買えば、週5匹与える個体であれば5ヶ月は持つ計算ですが、アダルトサイズであれば単純に寿命で死ぬ場合もあり、平均して成虫になってから40日程度で死んでしまうので、キチンと管理しても餌としてキープできるのは、長くても2ヶ月持ちません。
SSやMサイズで購入した場合でも、消費と共食いのバランスから、やはり2ヶ月程度を目処に追加が必要となります。
彼等の基本として乾燥させた空間が必要なのですが、死滅の要因の一つに、給水機からの水漏れや、野菜等の餌から滲み出た過剰な水分から、散乱している糞が湿り気を吸って、液化→アンモニアで自家中毒死!と言う流れもあります。
即座に大量の死滅を招いた場合、共食いではなくこちらの可能性が高いです。
餌コオロギ 日常の管理!
特に難しい事はありません…
日常の管理は、餌と水を与える事、ウンコや死体が増えてきたら掃除する事だけです。
基本は乾燥を維持しつつ、給水と餌は切らさない事が肝心です。
掃除に関しては、同サイズのケースを用意しておけば、新聞紙やダンボールごと移動させる。
そこから散らばった個体を個別に移動、コオロギが移動し終わったら、ケース内の汚物を片付けるだけで済みます。
↓ こちらは、筆者が育てている餌コオロギの様子です…少しキモイので閲覧注意です。
爬虫類の生き餌 コオロギの飼育設備
必要資材アレコレ!日用品で補える物も多いです。
コオロギは大量に購入すればするほど割引される事が多く、また通販主体なら送料を考えた場合、どうしても纏めて購入する事になります。
今回は100匹を基準にしてみますが、増えれば増えるだけ、餌の量、水の量、繁殖スペースが必要となります。
基本設備として必要な物は、
- 縦15横20X30ほどのケース(衣装ケースや極大プラケースなど)
- 給水機
- 餌&餌入れ(無くても可)
- 新聞紙やダンボール等の床材兼シェルター
- 繁殖場
こんな所でしょうか?
それぞれ詳しく解説していきます。
コオロギの飼育ケース
運命の分岐点!入れ物!!
キチンとキープできるかどうか、ここが最初の分岐点。それが基本となるケースです。
狭過ぎれば共食いの嵐。蒸れ過ぎたら普通に死亡。
それがコオロギです。
普通に売っている虫篭、所謂プラケースでは最大サイズでも狭く、衣装ケースでは蓋を網目状に加工しないと蒸れる。
非常にやっかいです。
蛇類等の飼育に利用される極めて大型のプラケースであれば、縦15横20X30ぐらいの物もありますので、当面はそれでも代用できますが、この大きさは100匹を意識した最低サイズなので、累代的に維持するとなれば、やはり最後は衣装ケースの加工と言う形に落ち着きます。
コオロギゲージは人によって色々工夫がなされておりますので、調べた中から自分に合わせた物を再現するのが最適です。
コオロギの給水機
コオロギ用給水機!?専用機みたいな名前ですが…
ぶっちゃけ、構造は陶器で良くある鶏の水飲みがプラスチック化した物です。
それの飲み口に脱脂綿やティッシュを詰めて使用します。
フタホシやイエコは、プラケの壁面等のまったく凹凸がない場所は登れないので、鶏の水飲みをそのまま使うと小さいコオロギでは給水口に登れません。
そこで多くのコオロギ専用給水機は、この部分をザラザラした形に加工してあります。
この脱脂綿やティッシュに産卵する事も少なくないので、取り替える時には捨てず、卵用のケースに入れておきましょう。
態々専用機を買わずとも、タッパー等の側面を加工してザラザラにし、蓋に穴を開けてティッシュや脱脂綿を通して、毛細管現象を利用した給水機を自作するのも良いでしょう。
コオロギの餌&餌入れ
餌は放り込む物!餌入れ!と言う明確な物は不用!?
餌入れはあっても悪い物ではありませんが、彼等の餌は基本的にコオロギ専用の粉餌や、野菜屑等です。
餌入れの所だけに餌を置くと、喧嘩になったり出遅れたりした個体、またサイズが小さいと僅かな段差が命取りで登れず、そう言った個体に食べさせる事ができません。最終的にそうした奴等がさらに弱い個体の共食いへと走ります。
粉餌は部分的に数箇所。野菜屑などは適当に放り込むなど、全体に行き渡る工夫が必要です。
葉の菜であれば特に刻む事もなくそのままポイっ!
ニンジンなども適当に放り込んでOKです。
ただ、あまりに汁っ気の多い果物の芯などだけは、びちゃびちゃになりかねないので、浅い入れ物に入れる等で対処します。
新聞紙やダンボール等の床材兼シェルター
新聞紙やダンボールは隠れ家でもありますが、メインの目的は立体的にケース内を使う為です。
これがないと底面積のみが居住空間になってしまい、どんなに広いケースを使おうとも手狭になります。
ダンボールや新聞紙はくしゃくしゃにして放り込むのですが、凹凸がしっかりした専用の物も販売されております。
卵の保護ケースとして使われる物が一番理想的な構造ですが、入手自体が限られたり、わざわざ購入する事になりますね。
どうせ買うなら、そこそこ長持ちする専用の物を購入した方が良いです。
いずれにしても消耗品ですので、なるべく経費は抑えたい所です。
日常の廃棄物として出る、新聞紙や普通のダンボールを丸めた物で十分代用可能ですので、そこまで拘る必要はないでしょう。
コオロギの繁殖!繁殖場について
産卵は湿った所であればどこでもします。
タッパーにティッシュを湿らせた物を設置してもいいですし、土を入れても良いです。
コオロギの雌雄判別は、
- 雌(メス)→尻に1本長い管がある
- 雄(オス)→尻に管が無い
雌はこれを土中やティッシュ等にぶっ刺して産卵します。
コオロギは珍しく雄が下になる形でカップリングが成立し、雄が精子の詰まった塊を雌に渡す形で交配します。
雌の尻付近に白い塊が付いていたら交尾が成立した証ですので、確認できた場合は餌として利用せず繁殖要員としてキープしておきましょう。
ある程度産ませたら取り出して他のケースに入れる事になりますので、家では紙コップを利用しておりました。
3日~4日に1回取り出して新しい物と取り替え、他のプラケースに移動させます。
25度前後を維持しておき、ラップやビニールでプラケースそのものを乾燥から防いでおけば、2週間~3週間程で孵化します。
ガリガリに乾燥さえしなければ良いので、ラップで包まずとも定期的な霧吹きでも代用可能です。
孵化直後の個体は、親より水切れに弱いので、特に給水容器など使わず水が広がらない程度に濡らしたティッシュ等をそのまま設置して、定期的に水分を足す形を保ちます。
2~3回脱皮してある程度大きくなったら親の管理ケースと同じにしてもOKです。
爬虫類の餌コオロギの繁殖や管理 まとめ
爬虫類の生き餌、コオロギの飼育について気をつける点は何点かあれど、正直、飼育事態にはあまりやる事は多くありません。
ですが、要所要所での良し悪しのさじ加減が感覚的な物になってしまい、どうしても慣れない内は全滅、あるいは供給のバランスが維持できず再度購入する事になりがちです。
個体に与える際にも栄養の面からサプリメントの添加は必須と課題はありますが、これさえ乗り越えれば、多くの爬虫類飼育が怖くなくなります。
生き餌の管理は、ある意味ペットとして飼ってる本体より手がかかる存在でもありますが、複数の爬虫類を飼っているともなれば、避けては通れない道でもありますものね。
この記事が少しでもお役に立てたなら幸いです。
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