ジムグリと聞いて、これがすぐにヘビの名前だと分かる人はそう多くありません。
ましてや飼おうとする人はほとんど居ないと思ます。
が、捕まえるのが困難で、買うとなったら1万円前後するんですよ?と言うと、途端に興味を示す人が居るのも事実ですw
国内で遭遇できる生き物はヘビに限らず値段が付かないのが基本ですが、一昔前のオオクワガタの様に、国産でも入手が難しい生き物には、ちょっとびっくりするような値段が付く事も少なくありません。
まぁ、オオクワガタは養殖技術が確立されて以来、大暴落で即値崩れしましたが…^^;
今回はそんな、国産にしては未だに高値安定のレアヘビ、ジムグリの生態や飼育方法について、更には捕まえられそうな場所についても紹介したいと思います。
ジムグリの特徴
ジムグリは平均してアダルトサイズでも100cm程度の平均的な大きさのヘビです。
がんばっても恐らく150cmを超えるぐらいでしょう。
生まれたての子供はメタリックな赤みに真っ黒なV字模様があり、非常に派手な警戒色の為に毒蛇と思われがちですが、実際には無毒で大人しいヘビです。
思いっきり派手な子ヘビとは真逆で、アダルトサイズになるにつれ赤みと模様が薄れ、茶褐色の地味なヘビになります。
寒い地方の個体ほど大人になっても赤みを残し、体の模様も少ない事から、赤ジムグリと呼び分けられる事がありますが、これが、
- 個体群による色彩変異なのか
- その個体自体の色彩変異なのか
明らかにはなっておりません…。
北海道産の個体では全体がオリーブグリーンになる個体などもおり、産地によって色彩に差があるタイプのヘビとなります。
お腹の模様が市松模様になる物が多いので、元禄蛇とも呼ばれるそうです。
名前の由来は、ネズミ等の餌を追いかけて地面の下まで潜る事から地潜りと呼ばれる様です。
顎の形も潜る事を意識しているためか、上顎が下顎に被さる様な形状をしております。
ジムグリの生態
ジムグリは気温24度前後を好む、国産のヘビにしては珍しいタイプのヘビです。
しかも主に好む餌が、ネズミやモグラの「子供」です。
この性質の為に、ネズミやモグラの繁殖期である春と秋にガツガツ餌を求め、子ネズミが居なくなる夏場には、
苦手な暑さと合わせて好きな餌が無くなるので、一気に食性が落ちます。
この季節的な食欲の低下を知っておかないと、普通のヘビであればガンガン食べて消化する夏に餌を食わないので、飼育者は戸惑う事となります。
冬には冬眠で餌を食べなくなるので、実質、春と秋以外には餌食いが止まる物だと思った方が無難です。
※夏場は普通に食べる事もありますので、拒否しない限りは飼育下では与えても問題ありません。
平均して交尾は冬眠明けの4~6月頃、産卵が7~8月。
孵化が7月後半~8月後半になります。
※多くのヘビ同様40日前後での産卵&孵化
ジムグリの性格
ジムグリの飼育難易度は、普通のヘビの中では最高難易度になります。
※一部の変態ヘビは難易度なんて物を振り切っているので難易度評価では度外視しています。
少なくとも、カリキンやコーンと同じ感覚では飼えません。
蛇飼育の初心者がなんの事前情報もなく飼った場合、満足に飼育する事もできずに死なせる可能性が極めて高いです。
その難易度を最も跳ね上げているのが、ジムグリ特有の臆病すぎる性格です。
個体によっては豪胆な物が居るかも知れませんが、私の知る限りでは皆無です。
どんなヘビでも数か月飼育すれば、飼い主に対しての恐怖は薄らぐ物ですが、こいつ等は何年飼っても慣れないなんてのがザラです。
その性格上、餌づけるにはシェルターもほぼ必須で、常に隠れているのも飼い主に慣れにくい状況に拍車をかけます。
ピンセットから餌を食べるまでに仕込むのも容易ではなく、給餌の基本はピンクマウスの置き餌となります。
飼育する場合は、まずはとんでもない臆病者であることを理解した上で接する事が肝心です。
ジムグリの活動時間
概ねヘビ全体が朝夕に活動する生き物ですが、ジムグリは低温を好む性質があるので、さらにこの傾向が強いヘビです。
特にレッドデータに登録されているような生息数が危ぶまれているヘビではありませんが、この傾向のおかげで、出会う可能性が極めて低いヘビとなり、捕獲の難易度が他のヘビとは段違いに高いレアなヘビとされています。
ジムグリの飼育に必要な物
性格には難があり飼い難いヘビではありますが、飼育に必要な設備自体は他の平均的な国産ヘビと同じです。
- サイズに合わせたプラケース(中~大サイズ)
- 隠れ家(シェルター)
- 床材(土やウッドチップなどの爬虫類専用アイテム)
- 水飲み
こんな所で十分です。
プラケースは他のヘビと同じく、最低でも底面積がトグロ3つ分程度ある物。
隠れ家は植木鉢を逆さにしたものや、爬虫類専用の物を、床材に関しては土でも良いし専用のウッドチップでも良いですが、水飲みが倒されてびちゃびちゃになった時には水の即交換が必要になります。
※ヘビの飲み水は、水道水でOKですよ^^
出来るだけ毎日交換してあげてくださいね。
水飲みは倒されにくい陶器の灰皿や陶器の鳥の餌入れなど、容器そのものにある程度の重さがある物がトラブルも少なく使いやすいです。
ウェットシェルターを設ける必要がある等の話や、ケース内での温度変化が必要などの話も聞きますが、大き目の水飲みを使っているのなら、特になくても問題ありませんし、温度変化なんて室内自体に昼夜で変化があるので不要です。
飼育の設備だけなら、ホントに他の国産ヘビと大差がありません。
餌を食べないからと、設備をごちゃごちゃ弄る人が多いですが、とにかく餌を食べない時は「季節」の把握と落ち着ける「環境」を維持するのが基本です。
設備をイジリまくると何時まで経っても落ち着きませんので、一度セッティングしたのなら、水替え以外はあまり触ら無い方がいいです。
そして構い過ぎず隠れ家に潜んで居るのがデフォと割り切りましょう。
ピンセットからの給餌で食べない個体は、ピンクマウスをシェルターの前に置くのが給餌の基本になりますから、合わせてケースを覆える暗幕なども容易しておくと良いでしょう。
喰わない個体は周囲が明るいだけでも食いませんので。
ジムグリの値段
国産のヘビとしてはレアに分類されていますので、本来は売り物にならない国産種でも、専門店で扱っている事があります。
一昔前ならネットオークションで個人出品の品があったので、お金さえ出せば入手は難しくありませんでしたが、動物愛護法が改正されてからは爬虫類の通販が実質不可能となりましたので、ジムグリを飼いたいとなった場合、運良く売っている店を見つけるか、自力で捕まえるしかありません。
値段は平均して1万円前後ですが、サイズや色彩によって変動します。
赤ジムグリや北海道産のオリーブ個体は通常よりも割高になるのが基本です。
ジムグリの捕まえられそうな場所
基本的にネズミ食いのヘビなので、ネズミが居そうな場所がポイントです。
また、低温を好むので、住処は林の中であることが多いです。
私の体感では、小川の近くにある竹林に多く、竹林以外でも近くに小川のある林周辺での遭遇率が高いです。
神社などの仏閣でも水回りで木々がある所に多い印象です。
涼しくてネズミが居そうな場所が、ジムグリを狙う時のポイントですので、捕獲するのならこうしたポイントを朝夕に巡回するのが肝心です。
幸い大人しいヘビなので、ギュっ!と握らない限り噛まれる可能性も低いです。
保護色に自信があるタイプなのか、外敵に出会っても即逃走タイプではなく、丸まって見つからない様にする個体が多いので、長袖長ズボンに手袋を装備した状態なら、特に道具を使わずとも手で優しく捕まえられます。
間違って素肌に反撃されても、精々皮膚を軽く裂くだけの軽傷で済みますので、運良く出会えたのなら、恐れずに優しく捕まえる事をお勧めします。
まとめ
- ジムグリは地域によって色彩差がある。
- とんでもなく神経質で、季節によっての拒食もあるので餌付けが難しい。
- 野生下ではピンクマウスを好む。飼育下でも好む。
- 飼育の設備自体は他の平均的なヘビと同じ。
- 買うとなったら、平均して1万円前後。でも、売りに出ている可能性は低い。
- 捕まえるのなら、涼しくてネズミが居そうな場所。小川近くの林などがお勧め
こんな所でしょうか?
ネット販売が実質難しい今となっては、特に入手自体の難易度が上がっておりますので、もしも捕獲に成功したら是非とも飼育&繁殖に挑戦してみてください。
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