ピパピパ。
連中はその特異な繁殖形態から、ちょくちょく取り上げられますが、実際に調べて見ると、繁殖の様式自体は取り上げられているものの、飼育している個体達を繁殖させるためのコツはあまり紹介されていません。
かく言う私も、増えたのがもう数年前の出来事で、当時あんまり興味もなく、あ、産んでるwぐらいの認識だったので、ほとんど記憶にありませんw
一応、実験的側面が強かったので、可能な範囲で記録を残したのですが、綿密な観察に基づいた物ではなく、気が付いた時点での記述なので、正確な数字が残っておらずかなり微妙です…。
裏付けを取ろうと調べても、なにしろ「基本的な事」すらわからなかったので、大いに間違えている可能性もあります。
なので、あくまで、今回ご紹介する内容は、家ではこの方法でも産んだ事がある!と言った、我が家の記録となります。
ベストな繁殖方法としてではなく、参考の一つとお考えいただければ幸いです。
ピパピパの詳しい生態については、まずこちらをどうぞ ↓
ピパピパ(コモリガエル)キモい背中の卵が特徴!病気や寿命まで生態を徹底解説!
ピパピパ(コモリガエル)の飼育について
画像引用元:http://natural-history.main.jp/Tree_of_life/Eukaryote/Opisthokonta/Komorigaeru/Komorigaeru.html
ピパピパを飼育する環境
基本的にどこでもかまいませんが、直射日光が当たる様な場所はNGです。
窓際などは止めた方が良いでしょう。
飼育には常に25度程度の水温を維持する必要がありますが、30度を超える様な急激な温度上昇には危険が伴います。
ピパピパに限らず、生き物の飼育は温度管理との闘いになりますので、寒暖の差が激しくない所で飼育しましょう。
人間が快適と思える様な場所がベストですので、エアコン完備の自室が一番理想的です。
飼育に必要な設備は?
ピパピパの飼育で必要な物は、熱帯魚のセット一式などが利用可能です。
・水槽上部やエアレーション型のろ過装置
・サーモスタット&水中ヒーター
・水草や砂利などの床材
・レイアウト兼シェルター(流木や魚用の物など)
・各種照明(主に水草の育成用)
・水温計(無くてもOKですが、あった方が良い)
・カルキ抜き
こんな所でしょうか?
とは言え、これは理想型です。メンテも面倒です。
飼育で一番大事なのは水質の維持なので、ウンコ=即水替えができる、プラケースに水を入れただけのベアタンク式が、最も簡単でメンテ効率の良い飼い方となります。
プラケの飼育でも冬場にはヒーターが必要になりますので、その時にはややメンテ効率が落ちます。
理想的な環境は、温室にプラケースを入れて水温調節する事ですが、1匹2匹の為に温室を準備するのは現実的ではありませんので、こちらは他にも爬虫類や両生類を飼っている場合の飼育方法になります。
ものすごく簡単で見た目的にはしょぼい飼い方ですが、我が家ではベビーで購入して以来12年、ずっとこの温室&プラケでベアタンク式です…
餌は毎日「何を」どんなタイミングでどうやってあげるの?
餌やりは毎日するものではなく、必要に応じて行います。
餌は毎日与えるなんて記述や話を良く目にしますが、ピパは待ち伏せ型で餌は取れる時に食い溜めするタイプなので、絶対にしてはいけません!
野生下では早々餌にありつけず、絶食と飽食の差が激しい生き物なので、毎日与える事は不自然で体に大きな負担をかける行為です。
食べれる時に食べないとならない生き物なので、与えれば与えただけ食べてしまうのです。
それでもお腹がいっぱいになれば餌食いが落ちますが、腹がこなれた次の日になれば当然、また限界まで食べてしまいます…
長期飼育に失敗する要因の一つに餌のやり過ぎがありますので、頻度は3日~7日に1度お腹いっぱい与える程度が理想です。
例外的に生後1年ぐらいまでのベビーであれば、1日か2日おきに与えても良いでしょう。
またアカムシを推奨する話も聞きますが、肉食ガエルのオタマならいざしらず、カエルに対してアカムシだけでは長期飼育はできません。
金魚を筆頭に様々な魚類や肉片、ツノガエルの配合飼料など、様々な物を与える必要があります。
魚類を与える場合は水槽にそのまま放り込んで一緒に飼育しておけば、いつのまにか減って居ます。
減ったり減るスピードが落ちたりしたら、接触するタイミングを上げる為に追加しましょう。
これなら餌を食べるタイミングはカエル任せにできるので、楽チンです。
全然減らない、全く食べない。なんて場合は逃げられまくっているか、餌が合っていない(好みの動きではない)ので反応しない。
などが原因となりますから、魚の種類を変えたり、水槽のサイズを下げて接触率を上げたりして、餌そのものの与え方を工夫しましょう。
・肉食魚用の人工飼料
・鶏肉(おやつ程度)
・魚類(餌用金魚やメダカ、ドジョウなど)
・餌用生きエビ
・沼亀用のレプトミン(完全に慣れてピンセットでも食べる個体のみで、メイン餌としては不向き)
我が家で与えてる餌はこんな感じです。
中でも主にツノガエルの人工飼料を与えてます。
ピパピパを飼う際に毎日必ずすることって?
水質のチェックだけは毎日した方が良いです。
大型のカエルなので、ウンコも大きく、プラケースで飼っているのであれば、ウンコ=即水替えになるからです。
それ以外にも脱皮した時のカスや餌のカスなどがある場合も水替えです。
常に透明で綺麗な水を維持するのが長期飼育のコツです。
水質にだけは常に気を配りましょう!
ろ過装置を使った大型の水槽でも、魚と違いウンコがでかい&頻繁なので浄化しきれません。
見た目には綺麗な水でも、雑菌が大量に繁殖している事があるので、ろ過装置を付けた飼育の場合、見た目が綺麗でも月に1回~2回は全取り換えしましょう。
毎日じゃなくてもすること
掃除と餌やりは必要に応じて行います。
特に掃除は大事です。
餌は1か月近く与えずとも平気ですが、汚れた水で飼うと即、死にます。
これはピパに限らず、両生類全般に言える事ですが、彼らは硬い鱗や皮膚を持たない為に、
汚い環境で飼育すると細菌を起こして簡単にしにます。
細菌の感染だけではなく、皮膚から水分を吸収するので、汚れた水から毒素を取り込んで自家中毒で死ぬ事も多いです。
ピパピパ(コモリガエル)卵を産ませるための準備と繁殖
我が家で繁殖の実績がある個体は、ツノガエル用の人工飼料をメインに、鶏肉や金魚などをおやつに与えて3年ほど育てた個体でした。
サイズの方は雄12センチ前後。雌で15センチ前後。
雌の方はピパとしてみたらかなり小柄でした。
おそらくですが、18センチ程度に育った個体の方が、良い結果になると思います。
ピパピパはツノガエルやバジェットでありがちな、サイズだけでかくても腹の中は卵がなくてスカスカ…なんて事は起こり難い印象です。
概ね、サイズに見合った量の卵を抱えていると思われます。
カエルは、雄は適当に育てても特に問題なくスイッチが入る事が多いですが、雌は体が仕上がっていないと、暴れまくって相手を受け付けない事が良くあります。
家の雌はこの辺りかなりマイルドで、雄の一方的な求愛にもわりかし動じず、抱き着かれても平然としていて、産まない時はただただ産まないだけ…なんて方法で拒否しました。
(ピパ特有の拒否方法なのかはわかりません)
ある意味、雄に延々無駄な体力を使わせるだけのむごい仕打ちです…w
重要なのは餌の栄養バランス
ピパピパの場合、調べた所、どうも産卵自体はするものの、受精しなかったり発生中に死亡する事が多いようです。
これは、日々の栄養のバランスが悪いと他のカエルでも良くあります。
人工飼料メインで育ててた我が家では、最初から問題なく産卵、受精、育児、巣立ちとステージが進みました。
楽だからと、金魚など単一の餌だけを与えて育てると危険かもしれません。
せっかく産卵してもオタマにすらならず終了…ではショックもひとしおですので、
日々の栄養管理だけは気を使い、バランス良く色々な物を適度に与える事が大事です。
温度調節で繁殖のスイッチを入れる
ピパピパは南米のアマゾン川流域に生息するカエルです。
かの地域の年間気温を調べてみた所、1年通して26度前後が平均気温と、意外と過ごしやすい気候でした。
もっとすごい熱い地域なのかと思っていましたが、雨季に30度前後になるのがピークではあるものの、極端に寒い季節と言うものがありませんし、40度を超えるなんて猛暑的な数字も見当たりませんでした…。
通常、爬虫類両生類の繁殖では、温度差による季節の変化を演出して、寒くする→徐々に温かくするの流れでスイッチを入れるワケですが、ピパの生息地には寒いと言う季節が無いので、その方法が取れません。
我が家では一時的に最低水温が15度程度にまで落ち込む環境で飼ってましたが、これはかなりダメな飼い方ですねw(繁殖時もやってましたが…)
我が家では未検証ですが、恐らく、理想は夏場28度~30度程度、冬場23度前後、春先25度前後の温度差で無理なくスイッチは切り替わると思います。
冬場15度→春先常温で家のはスイッチが入りましたが、暑さと寒さの差はあれ、現地の環境とは全然マッチしていません…。
多くの場合、ピパピパは25度前後設定でサーモスタットを使い、常時同じ水温をキープして飼う事になると思います。
繁殖を意識するのでしたら、まずは年間を通じて同じ温度設定にせず、季節ごとに設定温度を変える飼育に切り替えましょう。
特に温度差を付けなかった場合でも、スイッチが入ると雄は毎晩頻繁に鳴く様になりますので、これがGOサインになります。
「ちっ!ちっ!ちっ!」とか「こっ!こっ!こっ!」みたいな、おっさんが舌打ちするような鳴き声なので、知らないと、なんか謎の音がするなぁ…位にしか思えない分かり辛い鳴き声です。
繁殖場の準備
ピパピパは共食いをしないカエルなので、大きな水槽に複数飼っている人も多いと思いますが、家では個別飼育です。
個人的には繁殖を意識した場合は、無駄な接触を避ける為にカップリング時以外は同居させない方が良いと思うのですが、ピパの複数飼育は、水温調整のみで勝手に産んでくれる可能性も大きいので、一概に否定はできません…
家では通常飼育の水位が立ち上がって息が吸える程度の物ですが、カップリング時には倍位の水位にします。
幅39センチ 奥行74センチ 高さ32センチの衣装ケースに、7割程度水を貯めて繁殖場にしていました。
水面に向かって泳ぎ回転して背泳ぎの格好になった時に産卵し、雄が落下する卵を腹でキャッチして雌の背中に押し付けると言う、ピパピパ特有の産卵形態を再現しなくてはならないので、正直、これでは全然水位が足りないなぁ…と思っていたのですが、普通にやってくれました…
単に当時の雄雌の相性が良く、産卵が上手かっただけかもしれませんが…
通常推奨されているのは90センチ水槽や120センチ水槽など、かなり大型の物にがっつり水を貯めた物となります。
水槽で飼っている場合にしろ他の場所を使うにしろ、個体を安心させるために暗幕などをかけて暗くして管理する事をお勧めします。
いざ産卵となると、じゃっぱんじゃっぱん暴れるので、何度も暴れる音が続く様なら、そぉ~と隙間から覗いてみましょう。
とは言え、基本的には周囲が寝静まった深夜に行われたりしますから、観察できない事の方が多いです。
朝になったらなんか背中にいっぱいついてる!と言うのが基本スタンスです…
いざ産卵!雌の管理は孵化まで超VIP待遇
産卵直後は背中に卵が乗っているだけの状態なので、暴れたりするとポロポロと剥がれてしまいます。
ほったらかしにしておけば自然と皮膚が盛り上がって埋没しますが、それでも落ちる危険があります。
産卵が確認されたら、雄はさっさと取り出して他のケースに移動させましょう。
餌の魚を同時に飼育してるなら、この時ばかりは排除して、卵が背中に埋まるまでは同居させないようにしましょう!
最悪、魚に卵が襲われます…
また、水槽で飼っているのなら、周囲を白い布などで覆い、カエルが人間に驚いて暴れる様な状態をなるべく避けた方が良いでしょう。
産卵までしているのなら、もう人間には驚かないぐらい慣れているとは思いますが、念のための配慮は必要です。
家では衣装ケースでしたので、常に外側は見えない状態でした。
さて、ここで問題になるのが、水替えです。驚かせるのがNGなんて無理な相談ですw
日常の管理が、糞をしたらピパを片手で支えつつ水をドバっとこぼし、ピパごとじゃぶじゃぶすすいで、またそこに水を貯める。
と言う管理方法で、かなり乱暴な飼い方をしてる我が家でも、流石に子持ちのピパでそれをやるわけにはいきません…
産卵場に使った衣装ケースで、そのまま孵化まで飼育を続ける事になりました。
それでも大食漢で、良く食べ、良く出すカエルです。
水を換えないわけにはいきません…。
ピパの体高程度のギリギリの水位だけ残して水を捨て、また元の水位に戻すと言う日々を、子ガエルが背中から飛び出す日まで続ける事になりました。
管理が水槽にしろ衣装ケースにしろ、とりあえず産卵に成功したら、雌は長い事VIP待遇になるとお考えください…(汗)
無事に孵化!気持ち悪さもMAX!
孵化直前となると、この時期の雌の気持ち悪さは異常です。
ぶっちゃけ、これはないわーとなるきもさです。
まるで蜂の巣です。
この蜂の巣的な部分から、にょきにょき子ガエルが飛び出して来たら、晴れて孵化となります。
1匹が飛び出すと、大体他の奴も飛び出す準備ができてますので、ポイポイ出てきます。
雌も大したもので、この時期になると餌食いが落ちます。
誤って我が子を食さない為の配慮だと思うのですが、しばらくすると元に戻ります!
下手すると子供が食われてしまいますので、全員が飛び出した辺りで、母親とは別のケースで飼育する事になります。
飛び出してきた子ガエルの管理
子ガエルは親のサイズに反してかなり小さいです。
販売されている最低サイズの切手サイズと呼ばれる物よりさらに小さいです。
メダカでさえ食べるのは困難なので、しばらくはアカムシなど、かなり小さめの餌を与える事になります。
レイアウトなど一切ない所で、水だけで管理した方が、底に沈んだアカムシを食べやすいし見つけやすいです。
水深は極端に浅くなければ適当でかまいません。
家ではメンテナンス効率重視で、10センチ~20センチほどでした。
この頃から既に指先のセンサーは働いているのか、動かない餌である沈んだアカムシでも食べます。
動く物により反応しますので、解凍したアカムシを投入すると、沈んでいくアカムシをバクバク食べる様子が観察できます。
たまに兄弟姉妹の足とかにも食いつきますが、食べられないサイズとなれば吐き出すので問題ありません。
サイズ差が付きすぎると流石にやられてしまうので、成長の差が出始めた辺りで大きさに気を配り、似たようなサイズで分けて別々のケースで管理します。
基本的にメダカが食べられるサイズになったら、アカムシは卒業です。
この時期は食べるだけ与えて構いませんが、頻度は1日~2日置きぐらいに絞った方が突然死は少ないです。
小さい内ほど謎の突然死をするカエルなので、あまり餌を与えずゆっくり育てるのも一つの方法です。
(ただし最初の1年目にがっつり育てないと、あまり大きくなりません)
アカムシは栄養価があまり良くないので、使用は長くても半年ぐらいを目途にした方が無難です。
親と同じく水質の悪化には弱いので、十分な注意が必要です。
どうしても複数同時に管理する事になりますから、水も恐ろしい勢いで汚れます。
毎日水替えする位の気持ちで臨みましょう。
と、ピパピパの自家繁殖についてはこんな所でしょうか?
実際に試していませんが、家の様な劣悪な環境でもスイッチが入り産んだ事を考えた場合、120センチ水槽の複数飼育で、夏場28度、冬場23度、春先25度ぐらいにして水温に変化を付ければ簡単に繁殖できる気はします…。
我が家の状況では、夏場28度前後、冬場15度~20度、春先常温と言ういいかげんさですが…
これでも毎年春先に雄のスイッチが入ってチッチ鳴いてます。
キチンと温度調節をしていない為か、毎年産んでくれるわけでもなく、雄のみがやる気になって合体→雌は我関せずの完全無視→不発wで、フラれた年の方がはるかに多いですが^^;
残念ながら手元の個体は既に雄雌共に12歳。
毎年雄のみ鳴いているとは言え、高齢なのに加えて雌は背中に卵ではなく病を背負っており、個体の追加予定もないので、我が家ではこれ以上の繁殖は絶望的ですが、もしも適正サイズのペアいるのでしたら、是非とも繁殖に挑戦してみてください。
私がやった事と言えば、1年を通じて季節ごとに飼育温度に変化をつけた事と、日々の食事のバランス調整(しかもメインは配合飼料w)だけです。
この記事が少しでもお役に立てたのなら幸いです。
ピパピパの詳しい生態については、まずこちらをどうぞ ↓
ピパピパ(コモリガエル)キモい背中の卵が特徴!病気や寿命まで生態を徹底解説!