動物が好きな人なら、
将来、ペットショップを開業したい!
と思った事がある人も多いでしょう。
今回は、そんなペットショップ開業の方法について取り上げたいと思います。
ペットショップ開業への道
ペット屋は、法律上、動物取扱業として扱われます。
動物取扱業は、
ペット屋に限らず、ペットホテルや犬猫美容院なども含まれる、
動物に関係した業務で利益を得ている職業の総称です。
ペット屋は、
この動物取扱業の中でも、販売に属するものとなります。
今現在の法律では、
飼っている犬猫のみならず、亀や蛇が増えた場合でも、
この「第一種動物取扱業登録」を済ませた者でないと販売や譲渡が許されません。
さて、この第一種動物取扱業登録。
生き物を業として扱う場合、ペット屋に限らず避けては通れない資格です。
ただ、
実際にペット屋として開業するとなった場合、
そんなに難しい事ではありません。
開業する地域を担当している保健所等の自治体に、ペット屋を始めたいぜ!と申請して、その審査に通れば、晴れてペット屋です。
この時、実際に利益を上げる方法や、
商品の供給ルートを持っているかなどは無関係です。
書類を出して、保健所の人が家(あるいは店舗)にやってきて、そこが書類通りかどうか調べ、不備が無ければ合格です。
それでは、この提出書類、
どんなものが必要なのか、順を追って解説してみようと思います。
ざっくり一覧!提出書類の種類は6つ!
動物取扱業の届け出に必要な物は以下の通りです。
- 動物取扱業登録申請書
- 申請者、動物取扱責任者が法第12条第1項第1~5号まで該当しないことを示す書類
- 飼養施設の平面図
- 飼養施設の付近の見取り図
- 動物取扱業の実施の方法
- 動物取扱責任者等の実務経験、教育または資格要件を示すもののコピーのいずれか
※実務経験:動物取扱業従事証明書
※教育:学校の卒業証明書のコピー
※資格:資格の認定証のコピー …等々 - 登録料・15000円
と、小難しい書類名ばかりで、
なんじゃこりゃあ!となるかもしれませんが、
各申請書は、大体、各都道府県のHPで
それぞれダウンロードできますので、必要事項を記入するだけでOKです。
しかもそんなに記入項目は多くありません…
法人の場合は、
これに登記関連の書類が加わるようですが、
今回は個人申請なので↑必要ありません。
居住地のHPでダウンロードできない場合は、
面倒ですが居住地担当の自治体に向かい、
現物をもらってくる必要があります。
↑
どれも似たような物ですが、
地域によって内容に微差があるので、
居住地以外の都道府県からDLするのは控えた方が◎
それでは、各々の書類について解説してみようと思います。
1.動物取扱業登録申請書!
すべての始まりはこれから!
ペット屋になりたい!と言う意思を、各都道府県の知事に申請する為の書類です。
この後続く書類を含めた、申請の基礎となる書類です。
基本的にHPからダウンロードした書類や、
保健所で渡された物へと必要事項を書き込むだけです。
申請者の名前だったり、どういった内容の業務なのかと言った事を記入します。
書かれた項目に答えるだけなので、これといった難しい部分はありません。
具体的には、
- 責任者の名前
- 事業所の名称
- 事業所の所在地
- 具体的な業務の内容
- 主として取り扱う動物の種類
- 設備の種類
- 管理の方法
などに答える必要があります。
そう、もうお気づきかと思いますが…
申請した時点で「お店の名前」を決めないといけないのです!!
- 増えた爬虫類を細々と売る、同人作家みたいなスタイルでも!
- 例え施設がただの民家で自室だったとしても!!
個人で申請している以上、法律的にはお店のオーナーです。
「ちゃんとした名前」を考えましょう^^/
最終的にはその屋号で、
お客様への販売に限らず、問屋への発注や様々な取引をする事になります。
民家だし、看板もあるわけじゃないから、
適当でいいか…と、変な名前を付けると後々後悔する事になりかねません。
また、
ネットでHPを開設して業務を行う場合、
この書類で申請した所在地や名称、責任者の名前を、後に発行される登録番号と有効期限に合わせて書かないといけません。
自宅を事業所にする場合、住所から名前、場合によっては電話番号まで、完全に不特定多数の世間に身バレする事になります。
ブログなどで顔出しまでしてたら、フルコンボ達成!
これは、ネット全盛時代の今ではかなりの危険行為です。
逆ギレした客が施設を襲撃してきて、飼育動物を含め施設を破壊!
なんて事件もありましたし、
高額商品を扱う店舗では、
個体の盗難は非常に多いです。
それが自宅で起こりえるワケです。
良く考えてから申請し、
HPを開設時にもそうした事への覚悟が必要です。
とは言え、
そんな事件は早々起こりません。ですが、事件の心配以外にも、
直接的な面倒ごととして、迷惑電話や迷惑メールが恐ろしい勢いで増えます。
人権、人権と騒がれて久しいですが、
ワタクシ達、動物取扱業者の人権は守られないのです…
この開示は悪徳業者に対する抑止力にもなっている様ですが、真っ当な商いをしているほとんどの業者にとっては、良い迷惑ですね…。
2.申請者、動物取扱責任者が法第12条第1項第1~5号まで該当しないことを示す書類
この書類は、簡単に言うと、
今まで動物関係で悪さして逮捕されたりしてないかの証明書です。
特に警察に行ったりする事無く、貰った書類にサインしただけでした。
なので、大仰な名前のわりに、イマイチ記憶に残っておりません…
今まで逮捕された事ありませんよね?と聞かれて、はい、ありません。と答えただけですw
でかい書面にも、紙の大きさに反してそれぐらいしか記入する場所はありません。
あってもないって言ったら、たぶん公文書偽造とか偽証とか、そういった方向でお縄になるでしょう。
とは言え、
作成時点ではあくまで自己申告なので、いいのかよ!と思いましたが、いいようです…w
3.飼養施設の平面図!店内のご案内
飼養施設の平面図は、
簡単に言えば施設の見取り図です。
やたらと指定が多く難しそうですが、素人の手書きで問題ありません。
めっちゃ小汚くても、分かれば良いのです!
最低限記入が必要な項目は以下の通りです。
- ケージ、おり、かご、水槽等配置場所
- 照明設備
- 給水設備
- 排水設備
- 洗浄設備
- 消毒設備
- 廃棄物の集積設備
- 動物の死体の一次保管場所
- 餌の保管設備
- 清掃設備
- 空調設備
- 遮光、風雨を遮るための設備
設備、設備と書いてあり…
そんなもんわざわざ作るほどの金はないよ!と言う叫びが聞こえてきそうですが、ご安心ください。
給水設備は、水道の事だし、
洗浄施設や排水施設は、風呂場や水道と同じ場所、
消毒設備は、消毒薬を常備している場所や洗浄施設と同上でかまいません。
清掃設備は、掃除道具の場所、
動物の死体の一時保管場所も、爬虫類で登録した家ではゴミ箱の場所です。
空調などもエアコンの場所でOK。
まぁ、簡単に言えば自分の家にきっちりインフラ関係があって、
動物の生活に不便がない事や、ペット屋として無理がないかを証明するものです。
とは言え、この話はあくまで爬虫類。
しかも主な取扱品目が、
ナミヘビ科の無害で平凡な蛇で登録した時の話なので、
↓
犬や猫、大型の爬虫類などを取り扱い品目に加えた場合は、相応の設備がなくては再提出&施設改善になってしまいます。
4.飼養施設の付近の見取り図!
地図を書きましょう!
お店までの周囲の地図です。
これを参考に保健所の人が来たりしますので、わかりやすく書けば面倒も少ないです。
書類の中では専門性がなく、事前知識がなくともわかりやすい物ですが、
周辺地図とにらめっこしたり、あれこれ思い出しながら書く必要があるので、
ある意味、一番面倒な書類と言えるかもしれません。
5.動物取扱業の実施の方法!
爬虫類の通販はできないの?
ホテルやサロンではなく、ペット屋として登録した場合は、
どんな生き物を、どんな風に売るのかを大まかに記入し提出する必要があります。
私の場合は、自家繁殖した蛇をネットを介した通信販売で登録してあります。
もっとも、
現物確認が義務付けられた現在では、爬虫類の通販は困難で、
イベントや店舗で買い手が現物を見たけど、買わずに帰り、やっぱり欲しいから送ってw なんて現実的ではないケースでしか送れません。
ただ、この動物取扱業者登録を済ませた者同士なら問題なく送れます。
遠方のお店から近場のお店へと輸送してもらうスタイルなどが、現在、抜け道的に行われています。
良く勘違いされる案件ですが、
別に動物を宅急便で送るのが可哀想だから禁止されたワケではありません。
画像と現物がチガウ!なんてトラブルが相次いだせいで、動物愛護法の一部として現物の確認が義務付けられただけで、通販自体は許されているのです。
因みに、
カエル等の両生類、魚類、昆虫は、
なんの制約もなく無条件で問題なく送れます。
え?そうなの?なんでなんだ!?
と思った人も居る事でしょう…
↑
私はそう思ったクチですが、
これについては動物取扱業登録後、初の講習で衝撃の事実が語られました…
連中は(カエル等の両生類、魚類、昆虫)産む数が多いから無問題!!なのだそうです。
・・・。
動物愛護と言う言葉を、これほど薄ぺっらに感じた瞬間はありませんでした…
因みにこの時はまだ、現物確認は義務付けられておりませんでしたから、そっち方面の整合性と言う意味ではセーフですw
↑
その1回しか語ってくれず、今となっては10年以上昔の話。そしてソースも私の記憶のみと言う曖昧な物なので、本当の所はわかりませんが、事実として今でもカエル等の両生類、魚類、昆虫は、現物確認が義務付けられた現在でも、制約なく、輸送が許可されています。
6.一番の難問!第三者が認める資格
資格要件or教育を示すもののコピー!?
提出書類の中で一番面倒で一番難しい物が、
この、「第三者が認める資格」です。
それ以外の書類は、ダウンロードしてきた物を印刷して記入するだけで大体揃います。
幸いな事に、認められる資格は多く、
動物の専門学校を出ていたり、動物関連の資格を持っていれば大体クリアできます。
ペット屋と直接関係なさそうな資格でも、該当するものは多いです。
とは言え、
どれもこれも、相応の時間とお金がかかる物ばかりです。
保健所が認める一覧をパッと見ただけでは、絶望しか感じません…
家でたまたま増えただけの子供を売るのに、そんな労力やお金を使えませんよね?
そこで助かるのが、
家庭動物管理士と、半年以上の実務経験です。
①家庭動物管理士は、
丸1日、受講と受験で潰れますが、1日で取得できます。
②実務経験も、
動物取扱業登録を済ませた施設で、半年以上勤務した事を専用の書類に書き込むだけでクリア可能です。
働いていた所の責任者にサインしてもらう必要がありますし、最短でも半年と時間もある程度必要ですが、
元々働いているなら特に試験もなく、
バイトだろうが社員だろうが、無給で手伝わされている家族だろうが、この経験のみでクリア可能です。
↑
いずれにしろ、もっとも簡単、もしくは早道なのが、この2つです。
対応している資格や卒業校は多いものの、2018年現在、これ以外は直ぐになんとかなるものではありませんので…。
まとめ
ペットショップ開業に向けた第一種動物取扱業登録についてはこんな所でしょうか?
色々書きましたが、冒頭で解説した通り、
必要事項を書き込んだ書類を提出して、保健所にOKを貰うだけです。
1度申請が通れば、次の更新は5年後です。
(更新料として1万円が必要になります)
また、
危険指定動物を扱う場合は、
別途、専用の届け出が必要になります。
例えば、トラとかライオンとか、
アナコンダとかニシキヘビとか毒蛇とか、
↑
その辺りは売り買い以前に、
「飼育の許可」が必要になりますので、注意が必要です。
日本の生き物でも、知らずにマムシやヤマカガシ、ハブ等を無許可で飼っていると、法令違反でお縄になります…
図面や資格関連以外の書類は、
名前で検索すればどれも記入前の物がダウンロード可能なので、
気になったら、試しに内容だけでも見てみると良いでしょう^^
申請後に立ち入り調査がありますので、
- 施設の見取り図に間違いがないか
- 申請書類に不備がないか
など、事前にキチンと現場が書類通りになっているか確認しておきましょう。
この登録を済ませると、
実際に生体の販売で利益を上げられるだけではなく、
ペット屋から爬虫類を通販で買えるし、問屋への卸依頼など、業間取引に加われるメリットもあります。
次回は、一番面倒な資格書類、家庭動物管理士や実務経験などについて解説してみようと思います。↓
ペット屋開業への最短ルート!家庭動物管理士3級取得(旧家庭動物販売士)への道
カエル・蛇・トカゲの餌の仕入先と購入ペースや餌代!業者版&個人飼育版
引き続き、お付き合いいただけましたら幸いです^^