神経質な国産ヘビ代表のジムグリ。
このヘビを長期飼育するとなると、飼育者の方にそれなりの腕が要求される難易度の高いヘビです。
ジムグリは多くのヘビ飼育に慣れた人でも、長く飼っていると「うん??」と疑問符が浮かび上がる事がある奴です。
そんな小難しい種類の冬眠となると、ちょっと怖い面もありますが、長く飼おうと思ったらやっておいた方が良い作業です。
今回はそんなジムグリの冬季管理について、可能な限り我が家での管理方法を解説いたしますが、ジムグリ飼育はまだまだ未知の部分があり発展途上の種類です。
あくまで、この方法でも問題なく管理できている。。。と言った感じで、参考程度にしていただけると幸いです。
ジムグリの冬眠の必要性
ジムグリは春と秋、ネズミの繁殖に合わせて食に対する活性が上がり、ネズミの巣穴に潜り込んでピンクマウスを好んで襲うヘビです。
これだけなら、まぁ、そういう食べ物を好むヘビで済む話ですが、ジムグリの恐ろしい所は、じゃあピンクマウスが居ない時期はもう餌食わねぇよ!
との拘りまで見せてしまい、夏場には完全に絶食する個体が居る事です。
拘りを振りきってしまい、それは最早愛なのではないのか?
と思ってしまうほどの、ピンクマウスに対する執着ぶりですが、単に暑さでへばってしまい食欲が落ちているだけな場合もあります…。
ジムグリも多くのヘビ同様、春先の発情を促す意味でも冬眠が必要になりますが、日々の食性に季節の移り変わりが関係している(と思われている)ヘビなので、飼育中にも寒暖の差をつける事が重要です。
1年中温かい飼育環境では、ある日突然、謎のタイミングで拒食したりします。
(本当にそのせいで拒食したのかは、まだ検証の余地があるのですが…)
こうした変態…もとい変わった食性と習性の為に、冬場に冬眠させて生理サイクルを自然界と同じにするのは、飼育の面で大変効果的です。
我が家では一応、冬眠させている個体が謎の拒食を起こした事はありません。
なので、真っ赤でまだV字模様が鮮明に残っている様な、その年生まれのベビーサイズでない限り、冬眠を推奨いたします。
冬眠にはリスクが伴う
ジムグリは春と秋に食欲が増すとは言え、それでも他のヘビと比べたらかなり食の細いヘビです。
冬眠させるヘビには、9月~11月にかけてモリモリ餌を与えて、冬眠に備えたスタミナ作りが必要になりますが、イマイチ餌食いが悪く、1週間にピンクマウスのLを1つしか食わなかった…なんてのがザラにあります。
食性が上がっている季節でコレなので、当然成長も遅く、とても冬眠に備えた体力作りが順調とは言えない個体がしばしば居ます。
モリモリ食う個体でも、食べる週と食べない週があり、なんともはっきりしません…。
見るからにガリガリで背骨が浮き上がっている様な個体では、当然冬眠なんてできないので、保温して飼う事になりますが、問題は、一見するとふっくらしてて健康そうなのに、実はダメだった!
なんてケースが極稀にある点です。
アオダイショウやシマヘビなら、餌をそんなに食べてなくても割と耐えられる冬眠ですが、ジムグリだと、それなりに餌を食ってるのに、なぜか耐えられない個体が出る事があります。
我が家でもそんなに多くのジムグリを扱ったわけではありませんので、たまたまかもしれませんが、行ける!と思ったのに、なぜか失敗して落とした事が何度かありました…。
特にヤングサイズの冬眠は危険度が高い感じです。
ヤング個体は、生理サイクル重視で冬眠させるのか、はたまた危険をスルーしてその年は保温してアダルトになるまで冬眠を避けるのか…。
この辺りは飼育者の判断となり、どちらが正しいとも言い切れません…。
なぜなら、冬眠で死ぬか、サイクルが崩れ、結果として拒食して死ぬかの2択になるからです。
あえて個人的な感想を言えば、拒食はその個体次第なので、保温した方がまだ危険は少ない気がしなくもないのですが、う~ん…やっぱ微妙な所ですね^^;
完全にアダルトサイズになってしまえば冬眠、ベビーなら保温と言い切れるのですが、ヤングはその中間なので判断が難しいのです…
冬眠準備
冬眠の方法については、多くのヘビと同様でほぼ問題ありません。
9月~11月にかけて食べるだけピンクマウスを与えましょう。
この季節なら、アダルトサイズはピンクのLサイズを週に3つ~4つは呑むと思います。
気分屋なので、呑んだり呑まなかったり、
少しだけ呑んだりと色々なパターンで飼育者を悩ませますが、
とりあえずアダルトサイズなら3つ~4つを目途にしつつ、食が細くなるまで常温で飼育を続けます。
こうしたサイクルで給餌を続けていると、屋内の無加温飼育なら、
10月後半~11月半ば前後には食べなくなります。
その年の寒さ次第なので、温かい年だと11月後半から12月上旬まで食べたりする奴が居ますが、
基本的には11月の半ば頃には完全に給餌を止めて、冬眠前に糞を出す期間を設けましょう。
冬眠に入る目安としては、11月後半から12月上旬を意識して調整します。
冬眠中のケース
完全に飼育に慣れている個体であれば、ぶっちゃけ、いつものケースを室内の寒い場所に置くだけでOKです。
玄関やトイレ、机の下など、暖房が行き届かない場所であれば、大体OKです。
冬眠と言いつつも、室内の環境では地味にウロウロしたり、水を飲んだりはします。
飼育中は、寝かせると言うよりは絶食させつつ、寒くして代謝を下げ動きをすごく鈍らせると言ったイメージが近いです。
完全に寝かせる場合は、荒いタイプのヤシガラや黒土などを混ぜた物をケースの六分目あたりまで厚く敷き、潜らせるのが効果的ですが、それでもひょっこり出てきたりしますし、そもそも潜らせ慣れていない個体では潜らない!なんて奴も居ますので、その場合は潜らせない冬眠と同じく、水だけ与えて放置しておきましょう。
水飲みは倒されやすいので、陶器の灰皿や鳥の水飲みなど、広くて自重のある物を使用しましょう。
日常の管理でも、水飲みはそうした物がお勧めです。
潜るの大好きな個体だと、ヤシガラを混ぜまくって水飲みが床材に飲み込まれる事が稀にあります。
その場合は倒された時と同じく水で床材がびちゃびちゃになってしまうので、その場合には床材は全部取り換えましょう。
また、これらの管理方法は私の居住地の方法です(静岡)
関西や関東など、比較的普通の寒さの地域であれば上記の方法で問題ないと思いますが、
極寒地方の東北や北海道などでは、ケース内が0度以下にならない様に気を付けましょう。
(爬虫類は0度以下になると生命に危険が及ぶと言われております)
冬の保温飼育の方法
ジムグリは24度前後を快適とするヘビです。
(とは言え、我が家では冬眠時以外、28度設定のエアコンで管理していますが…)
また、ある程度の湿気があった方が良いとされるヘビなので、極度に乾燥する冬場は意外と湿度&温度の管理が面倒です。
普段であればそこまで気にしなくても維持されている湿度が、暖房でカラカラになってしまう事も少なくないので、保温飼育の際には、水飲みと合わせてウエットシェルターを作る事が大事です。
大き目のタッパーや小~中サイズのプラケースなどに湿らせたミズゴケを半分ほど入れてケース内に置きましょう。
床材を厚く敷いて、最底部だけ湿らせた土にしておくなども有効です。
一番簡単な保温は、観葉植物や爬虫類専用の温室にケースごと入れて保温する事ですが、そうした設備が無い場合は、発砲スチロールにケースごと入れてしまい、フィルムヒーターで温めるのが効果的です。
細かな温度調整は不可能ですが、この方法は安くプチ温室を構成できる鉄板スタイルです。
保温飼育中の給餌
ジムグリは適正温度の範囲内で保温飼育をしていても、餌を食べない事があります。
肌で寒くなった空気を感じ取っているからなのか、はたまた単に乾燥気味な空気に嫌気が差しているのか…
真意はわかりませんが、元々食が細いヘビである事を考えると、あまり深刻ではない場合がほとんどです。
完全に拒食してしまっても、私の所のデータでは5か月ほどなにも食べずに平然としていましたので、12月~4月ぐらいの間であれば絶食の期間が少し伸びた程度の感覚で、起きていても問題なく耐えられると思います。
本来活発に食べる4月後半に入っても食べないのは流石におかしいので、その頃になっても食べず、また、体も背骨が浮いてガリガリでもう猶予がない…なんて時には強制給餌を試す必要が出てきますが、そうでないのなら焦って強制給餌に走らず、長い目で様子を見ましょう。
神経質なヘビなので、仮にその時は生き延びても、その後は強制給餌でなければ食べないなんて問題児になりかねない危険行為です。
(それでも死ぬよりはマシなので、いよいよとなったらやらないわけにはいかないのですが…)
完全な拒食でなくとも、1か月にピンクマウス1匹程度しか食べないなど、冬場の保温飼育中は色々な給餌トラブルがあります。
どうしても人工的に環境を作っている以上、神経質な種族にとっては細かい所でストレスになっているのかもしれません…。
まとめ
- ジムグリは繁殖面でも給餌面でも冬眠が大事。
- 冬眠はベビーなら中止推奨だけど、ヤングの場合は判断に迷う。
- アダルトなら生理サイクルを維持する為に冬眠推奨。
- 保温飼育中は、温度や湿度に問題が無くても食欲が落ちる事がある。
- 元々長期間の絶食に耐えられる生き物なので、焦って強制給餌には走らない。
- 4月後半になっても食べないのであれば、状況により強制給餌もありえる。
こんな所でしょうか?
繁殖しない場合は冬眠させない方がお勧めと言えるヘビ達が多い中、冬眠しないと来年の給餌バランスにも影響が出かねないジムグリは、厄介と言わざるを得ません。
保温して飼っても環境が気に入らないと拒食しますし、同じ環境でも平然と食べる奴も居ます。
本当に個体差が激しい種族ですので、マニュアル的にこの方法ならオールOKと言う飼い方がありません…
冒頭でも言った通り、今回紹介した方法は、あくまで我が家での飼育記録に基づいた物ですので、参考程度にお考えください。
因みにこの方法で冬眠させても普通に繁殖します。
国産のヘビなので、繁殖自体は容易なヘビです。
フルアダルトの雌雄が手元に居るのなら、是非とも繁殖に挑戦してみてください。
この記事が少しでもお役に立てたのなら幸いです。