イグアナを飼おうと思った人なら、誰でも夢見る放し飼い。
犬や猫たちの様にイグアナと室内で たわむれる事ができたなら、どんなに素晴らしいことでしょう。
ですが、それは夢です。
ひと握りの方が幸運にも辿り着けた、究極の到達点です。
夢破れてケージ飼いで我慢するのが、多くのイグアナ飼育者が辿る王道です。
ですが…、夢なのでやめておきましょう!
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では記事になりませんので、私の経験と良く聞く話を交えつつ、現実的にどんな障害が待ち受けているのか、解説してみようと思います。
グリーンイグアナの放し飼い 躾(しつけ)について
冒頭から不安を あおる文言で心苦しいのですが、グリーンイグアナとの共同生活?放し飼いは本当に修羅道です。「こうすれば確実に大丈夫!」と言うものも ありません。
グリーンイグアナは、頭もそれなりに良いので、一度敵だと認識されたら関係の改善は絶望的です。
そして、極論を言ってしまえば、放し飼いに適応するのも、ハンドリングした時の反応も、
「その個体の性格次第!」になってしまうのです…。
放し飼い最初の関門
まずは人慣れしやすい可能性を秘めた個体をなるべく選ぶ!
ショップに行けば、多数のグリーンイグアナがいると思います。
ここで、なるべく物怖じしない性格の個体を選んだかどうかで、その後の調教難易度が変わります。
人間が近づいただけで おびえて暴れまわる様なら、その子は初心者が扱うには厳しい状態です。ボケーっとしてなにも反応を示さない個体も、我関せず(自分には関係ない)タイプなので我が強く微妙です。
興味を示して、目で人間を追って来るような個体が理想的な相手となります。
「餌ください!」的に完全に寄ってくる様な子なら、既に人慣れしてる為に100点です。
どんな性格でも、最終的に同等程度に慣らせられる可能性はありますが、初めての飼育でしたら、購入の段階から性格を意識しておいた方が良い結果に繋げ易いです。
この理想的な性格の相手に出会えるかどうかは…運です。
入荷して時間が経てば自然と人に慣れた個体も増えますが、時間が経てば経つほど売れてしまうので…
そして、この判別方法も確実ではありません。
家に来たら180度態度が豹変した!?なんて事も良くあります…
放し飼い最初の条件
放し飼いにする為には、最低でも1年以上経過したヤングサイズ以降からにします。
十分に準備が出来ていない室内での放し飼いは、小さすぎれば踏んでしまったり、室内で行方不明となり死んでしまう可能性もありえます。
放し飼いするための室内の状況
まずは下準備!大事なのは、室内に家具類がほとんどない事!です。
この時点で厳しい方が多いと思いますが、タンスや冷蔵庫、各種の棚などがあれば平気でよじ登ります。
猫とは違い、調度品も避けて歩いてはくれません。
大きくなれば胴体だけを見ても、小型の猫ぐらいあります。
これに同じぐらいか、それ以上の長さとなる尻尾が加わります。
尻尾!そいつがすべてをなぎ倒して、怪獣映画の破壊シーンの如き移動を繰り返します。
雑貨が多ければ多いほど、イグアナと飼い主双方の怪我や事故にも繋がりやすくなりますので、部屋一つを与えるぐらいの気持ち(イグアナ用の1室)で挑みましょう。
トイレの しつけ
いざ調教開始!放し飼いはいいけど、トイレの躾とかできるの?
私の感覚だけで言えば、トイレに限らず躾は不可能です。
トカゲにしては利口と言うだけであって、トカゲである事に変わりはありません。
犬や猫たちの様に躾けるのではなく、性質を利用して、飼い主の都合になるべくあわせる事になります。
性質なので、慣れてしまえば6割7割は所定の場所でしますが、「したくなったらどこでもやっちまうぜ!」と言うのも彼等の性質です。
お粗相も平気で しでかす わけです。
犬や猫たちの様にほぼ100%失敗しない!なんてケースは一握りでしょう。
家の子は覚えているよ!と言う話も聞くのですが、よくよく聞いてみれば失敗も多いなんてのもザラにあります。
でも、普通に しでかしていても、大体同じ所にしているから家の子はトイレを覚えてる!
と、飼い主が言えるほどになっていれば、十分です!
ちなみに、
お風呂場等に進行可能な状況なら、排便の際には湿度が高い場所を好む傾向がありますので、お風呂場を排便ポイントにする個体も多いです。
トイレとして躾けるのではなく、湿度の高い場所として認識させ、常時水浴び容器なども設置しておけば、成功率は高まります。
水浴びと同時にする個体は多いので、ケージ内の水浴び場をトイレにする事もあります。
個体の性格として、終始どこでもする奴もいれば、同じ場所でばかりする奴もいます。
後者であれば比較的楽なのですが、必ずしもこちらが望む場所でするワケではありません。
やって欲しくない所に執着された場合は、逆に悲惨な事になります。
総じて、トイレは覚えると言うよりは、同じ場所でばかりする個体もいる。
そして性質を上手く利用すれば、その可能性をある程度操作できるかもしれない。くらいの認識でいた方が良いです。
放し飼いをするのなら、気分次第で しでかす のが普通と割り切りましょう。
余談ですが、腹いっぱい食べてる大人サイズのウンコは、チワワのウンコぐらいの大きさになります。
汁っ気も多いので、じゅうたんや畳、布類等とは相性最悪です。
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チワワ的なウンコをそこらにされるのは嫌だよ!トイレをなんとかしたい!
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前述の様にトイレでの排便を100%させる事は厳しいですが、室内をやや寒い状態にすれば、ケージ内のバスキングスポットに逃げ帰る事が多くなりますので、寒くなったら逃げ帰る→体が温まったら出てくる。を繰り返す様になります。
必然的にケージ内の滞在時間が伸びますので、水浴びの機会も増え糞便もそこでする可能性が高まります。
その為、「排便=ケージ内の水浴び場。」と認識するようになれば成功です。
私の家の個体は、↑これで7割方ケージでするように仕向けれましたが、調教開始が冬だったからできた裏技みたいな物ですし、個体差にもよると思います。
なにしろ、寒くなってもケージが解らず帰れない!なんて子もおりましたので…。
ハンドリング(お触り)
せっかく放し飼いで同じ室内に居るんだし、ハンドリングとかもしたいなぁ~
お触りは基本NGです。
弱点である頭を撫でたりした日には、こっぴどく嫌われるだけです。
そしてヘタに頭が良いので、その恐怖を覚えてしまい、以後、延々ギスギスするだけの関係になりかねません。
ただでさえ爪切りや掃除の時に触る必要がありますので、奴等は基本的に飼い主を良く思っていません。
なので、ハンドリングを想定した場合、日々の餌やり時に腹減り状態を利用して、人間の手から小松菜などの束に食いつく程度の信頼関係を築いておきましょう。
そのぐらいの信頼関係ができあがったのなら、ようやく次のステップへと踏み出せます。
調教を始める時期としては、やはり冬が理想的です。
トイレの応用なのですが、室内暖房を弱めて寒くしておき、まずは動きを鈍らせます。
忘れがちですが、この作業に入る前には餌を与えてはいけません。
消化に甚大な影響が出てしまい、下手したら死ぬ可能性もでてきます。
前日から餌を与えず、調教に備えましょう。
準備OKなら、ケージから引きずり出してしばらく室内に放置しておきます。
寒さで動きが鈍ると、暴れはっちゃくな やんちゃ坊主でも、とたんに大人しくなりますから。
体温=周囲の温度=機動力。
となる変温動物なので、寒くなると本気で動けないのです。
そこで、俺が!私が!君の救世主だよ!とばかりに抱き上げて、人肌で暖めてやります。
口を開けて威嚇する場合や大暴れする様なら、皮手袋とタオルを装備しましょう。
この時、頭から手を近づけたり、恐れてモタモタするのはNGです。
さっとすばやく、相手に反撃の機会を与えない速攻で、胸の辺りからすくい上げる様な形で抱き上げます。
口を開けて威嚇が激しい個体ですと噛まれる危険もありますので、こういった個体には先にタオルを噛ませてしまいます。
ですが、その状態では触れる準備ができているとも言えませんので、もう少し大人しくなるまで寒さに耐えてもらうか、日を改めた方が良いです。
上手く抱き上げに成功しても「抱かれると暖かい」を学習するまでは抵抗しますが、腕を木の枝に見立ててお腹全体を下から支えておけば、遠からず学習します。
そうなると寒さに堪えられず延々抱き付いていますので、飼い主に対する警戒心は繰り返す度に薄れていきます。
ここからお互いに慣れていきましょう。
放し飼いに慣れれば、飼い主の後を付いてきたり、顔をみれば寄ってきたりと、かなりの愛嬌を振りまいてくれますが、精々、その程度です。
それだって、懐いたのではなく同居している人間に慣れただけです。
「馴れる」のではなく「慣れる」生き物と言う事を忘れてはいけません。
彼等の行動はあくまで「反射行動」に過ぎないのです。
過度な期待をすると、現実に直面した時に裏切られた感でいっぱいになってしまいます。
なので、その「反射行動」に対して、飼い主が
- イグアナは慣れる生き物だ!と思えば慣れる生き物。
- そんなもん反射だよ。と割り切ってしまう人ならそれまで。
と考えておけば、現実に直面した時の衝撃をある程度緩和できます。
例えば、
グリーンイグアナの放し飼いをしてて、突然ひょこひょこ寄って来たと思ったら、
唐突に足をよじ登ってきた時!!
- 「うお!家の子すごい懐いてる!!抱っこしてって事?超可愛い!」と見るか、
- 「あー、俺の足も暖房器具としてはアリ!って、教えてしまったからなぁ…」と見るかです。
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結果は同じですが、この辺りの考え方は本当に人それぞれです。
私の感覚では、グリーンイグアナの知能は、鶏よりはマシだけどカラスには到底及ばない程度の鳥類です。
ですが、人によっては猫ぐらいあるって方もいます。
糞便などの問題は、なかなか「しつけ」が難しく、どこまで許せるか飼い主の愛が試されますし、放し飼いに慣らすと、繁殖期の室内暴走を収めるのが困難になるなどのデメリットもあります。ようやく暴れん坊をケージに封印したのに、自分からケージを開けて出てくるなんて奴もいますのでね。
と、上記のように、放し飼いは万人へとお勧めできる飼育方法ではありません。
まとめ
グリーンイグアナの放し飼いについて、色々、お話してきましたが、
これは、私の至った一つの結論に過ぎません。
様々な記事を巡ると、色々なパターンの付き合い方が垣間見れます。
上手く行った事例もたくさんありますが、
「これから調教をしよう!」とお考えの方に、
数ある事例の一つとして、こういう意見もある。
という程度の参考にしていただければ幸いです。
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